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2003年09月22日(月) 焼肉オフ(オフレポ前編)

土曜日の午後は日頃愛読している日記の書き手さんをお誘いしてのオフ会であった。
オフ会の幹事をするのは初めてだ。にもかかわらず、盛り上がらなかったらどうしよう……なんてことをまるで考えなかったのは、私の神経が図太いからではない。お集まりくださるのが「これで寒いオフ会になるわけがない!」と私に確信させるに足る、最強の顔ぶれだったからだ。
貴重な関西在住の日記書き仲間である櫻屋の櫻屋の主人さん、王様の耳はロバの耳のあぐりさん、そして九州は佐賀から「ものもの−monomono」のくりさん。このいかにもしゃべりそうなメンバーが集結するというのに、なんの心配をすることがあるだろう。
待ち合わせは梅田の喫茶店で。くりさんとは一年ぶりの再会であるが、櫻屋の主人さんとあぐりさんとは初対面。どうやって「小町」を見つけてもらおうか。
こういうとき、相手を探してきょろきょろしなくてはならないほど照れくさいことはない。目印は迷いようのないものにしなくてはと思い、「店内で一番エレガントな女性を探してください。それが私です」と言っておいた。そうしたら、店一番乗りは櫻屋さんだったのだけれど、シナモンスティックで優雅に紅茶をかき回している私を視界に捉えるや、ウェイトレスをなぎ倒さんばかりの勢いで私めがけてツカツカツカーッ。
念には念をと思い、「ピンク色のハンカチをテーブルの上に置いておきます」とも言い添えていたのであるが、その様子を見て、いらぬ気遣いだったわ……とつぶやいた私である。
なんて冗談はさておき、こういう集まりの面白いところは自己紹介や「はじめまして」のあいさつがほとんど必要ないことである。ふだんから日記を読み合いメールのやりとりをしていると、初めて顔を合わせるという気がちっともしない。それこそ「顔は後からついてくる」なのだ。
ほどなく、あぐりさんとくりさんが到着。四人でお茶を飲みながら、軽くお口のウォーミングアップ。そして、私は筋肉がほぐれてきた頃合いを見計らって、「さあ、次はボウリングですよ」と三人を向かいのボウリング場にお連れする。
本日のスケジュールは周到に組んである。このあとのビールをうんと美味しく飲むために、みなさんにはここで適度な運動をしていただくのだ(強制)。
頭上のスコアボードに四人のハンドルネームが並んでいるのを見ると、不思議な感じ。マイ日記才人のリストの中で縦に並ぶのとはちょっとわけが違うのだ。
ところで、ゲームのほうはというと。くりさんの球は毎回同じ弧を描いて左にカーブし、「ほら、私って性格がまっすぐだからー」と体をくねらせるあぐりさんの球はたしかに一直線ではあるものの、きまって斜め方向、早い話が溝に向かって突進していく。
櫻屋さんはというと、プレイよりも気をとられることがおありのようで、ねえねえと私を肘でつつく。
「こういうときに素敵な男性に『ほら、こうやって投げるんだよ』なんて手取り足取り教えてもらいたいわあ」
「それ、漫画の読みすぎ」と冷たくあしらいながらも、ついあたりを見渡してしまう私。「だって見てよ、すんごい不作……」と声のトーンを落としてつぶやくと、隣のレーンのずんぐりむっくりの男性を見つめながら彼女も弱々しく頷いた。
そんなバカ話に花を咲かせていたからだろうか、それとも不作呼ばわりされた男性たちの呪いだろうか、気がつけば私のスコアは散々なものであった(それでも一位だったのは、他の三人がさらに散々だったからである)。二十日後のボウリングオフに備えて練習しておこうという目論みは、完全に失敗に終わった。
そんなこんなでにぎやかに二ゲームを終えた私たち。今度はあぐりさんの車に乗り込み、いよいよ大阪のコリアンタウン・鶴橋へ。『鶴一』で焼肉を食べながら大いに語らうというのが、本日のメインイベントなのだ。
「おなかすいた!おなかすいた!」のシュプレヒコールの中、意気揚々と走り出したのも束の間、あぐりさんが素で言う。
「ところで私、道知らんけど」
車内に響き渡る、「うそーー!!」。
「京橋のほう行ったらええんちゃうん」
「それってどっち?」
「そんなこと私に聞くんじゃない……」
「大阪城公園やったら行き方わかるけど」
「じゃあとりあえずそこまで行こ」
こんな具合だったにもかかわらず、きっちり予約時間の五分前に店に到着してしまうのだから、空腹女の執念には恐れ入る。
そして、本当のオフはここからはじまった。(後編につづく)

【あとがき】
不思議です、初対面のときの緊張感というか遠慮というか、そういうものがほとんどなかったんですよね。メールのやりとりがあるということもひとつでしょうが、それよりも「日記を読んでいる」という部分が大きかったのでしょう。待ち合わせの喫茶店でも「はじめまして、〇〇です」「どもども、いつも読んでます」なんてあいさつはなし。「すぐここわかりましたー?」なノリでしたから。
さてさて、いよいよ『鶴一』で四人のパワーが炸裂します。書けない話が多いのですが、その場の雰囲気がどんなにけたたましかったかだけでも味わっていただけたらと思います。次回乞うご期待。