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2002年10月22日(火) 関西人のイメージ(前編)

関西の人が「オレら、関西人はさあ」と前置きして、本当は一般的でもなんでもないことをあたかも関西の常識であるかのように話すのを耳にすることがある。そんなとき、私はいつも白けた気分になる。
百貨店でも値切るだの、ふたり寄ると漫才が始まるだの、夕食にはお鍋のように一家でタコ焼き焼き器を囲むだの。そんなこと全然ないじゃないかと。
ナンパをするときの常套句が「ネーチャン、茶しばこ」だなんて得々と語っているのを聞いたときは、「嘘をつけ、嘘を!」と叫びたくなった。そんなフレーズ、私はたったの一度しか聞いたことがない(聞いたことがあるのは認める。道頓堀のひっかけ橋で)。
「がめつい」「やかましい」「ガラ悪い」といった関西人のイメージをさらにパワーアップさせ、コテコテの関西人を演じようとしているのを見るとこちらが恥ずかしくなる。
「大阪人vs.東京人」「関西vs.関東」のような東西比較本もやたら出回っているが、読んでいるとたいてい途中で胸やけがしてくる。「こう見せたい」という著者の思惑が見え見えなのだ。
実物大の文化や風俗なら知りたいと思うが、書かれてあるそれらはあまりにもステレオタイプ。両者の突出した部分ばかりを掬いあげ、無理やり典型をつくろうとしているのでつまらない。
というわけで、「関西ちゅうとこは」「大阪人ちゅうのは」とひとくくりにする物言いが好きではないのだが、そんな私でも認めざるを得ないのが「大阪にはせっかちが多い」という点だ。
先日、東京の街を歩いていて、私はとても驚いた。みんな信号を守っているのだ。ほんの五メートルほどの小さな横断歩道でも、青信号に変わるのをちゃんと待っている。車道を横切る人もほとんど見られない。
私は思わず「すごい……」とつぶやいた。

大阪(といっても私の生活圏の話だが)の歩行者の交通マナーはあまりよろしくない。
横断歩道でないところでも平気で渡るし、何車線もあるような大きな道路ではとりあえず半分渡り、センターラインで車が途切れるのを待つ。信号無視はありふれた光景で、車両用の信号が赤に変わるやいなや歩きはじめる“フライング”にいたっては当たり前とさえ言えそうだ。
かく言う私も信号待ちが苦手である。時間がもったいない気がしてならないのだ。あたりに子どもの姿がなかったら、つい渡ってしまう。
梅田や難波にある、あと何秒で青信号に変わるかを教えてくれる歩行者用信号は有名である。いらちな大阪の歩行者の心を落ち着かせるためのものだが、十秒前の表示が出るとみんな一斉に渡りはじめるため、フライングを諌める効果はなさそうだ。
ちなみに、ひと頃話題になった『大阪学』の著者によると、信号が青になるまでちゃんと待つ人は東京では47.3%、大阪は10.5%なのだそう。「大阪人にとって黄信号は『まだ行ける』、赤は『気ィつけて行こ』である」なんて皮肉にもうなだれるしかない。
これは近鉄難波駅にある「高速運転するエスカレーター」であるが、これは他の都市にも存在するのだろうか。さらなるスピードアップを図るため、多くの人が歩いていることは言うまでもない。
大阪人の歩行速度は秒速1.61m。足速で有名なニューヨーカーも香港人もびっくりの堂々の世界一なのだそうだ。ちなみに、二位は東京(1.56m)。このワンツーフィニッシュを「たいしたもんだ」と言っていいものかわからないが。
また、ラブホテルの「御休憩」。関東は二時間いくらだが、関西は一時間だ(そうだ)。関西人はそちらのほうも早いのか。

いろいろな地域にお住まいの方がお読みくださっていると思います。
「お好み焼きをおかずに白いごはん食べるって聞いたけど……」
「客にお釣りを返すとき、店のおばちゃんが『ハイ、300万え〜ん』って言うって本当?」
と以前まじめに訊かれたことがありますが、こういった関西についてのイメージや疑問をお寄せください(次回の日記で紹介させていただく可能性があります)。もしあなたが関西の方なら、「信号無視なんてサイテー」「オレは早ないぞ!」など情報や反論、大歓迎です。

【あとがき】
エスカレーターや動く歩道。ひとりのときは私も必ず歩きます。じーっと立っていられないんですよね。そんなに急いでどこへ行く、とは思うんですが。香港人は歩くのもすっごく速いけど(突進してくる)、驚いたのが駅構内のエスカレーターのスピード。あまりにも速いので、「こんなのお年寄りは乗ったり降りたりできるの?」と思いました。あれぐらい速かったら私も歩かないんだけどな。