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- 2006年07月08日(土) ∨前の日記--∧次の日記
- 中田英寿という時代【1】






中田英寿引退のニュースは、日本のみならず欧州をも駆け巡った。nakata.netに掲載された引退メッセージは、これまでのどの日記とも異なっていた。
彼がこれほど内面を曝け出したのはおそらく初めてではないだろうか。それは、中田の肉声そのままに綴られた心を打つメッセージであった。
まだ読んでいない方は是非読んでほしい。





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1.彼はもう、分かっていた。




ドルトムントの夜空を眺めながら、彼の胸に去来していたものは、やはりその2文字であった。
誰もが引退のニュースを聞くにつけ、ブラジル戦の最後のシーンに納得したのではないか。
スタジアム内通路でも人目はばからず悲嘆にくれていた中田は、その後更衣室でジーコに意志を告げたという。

ピッチで彼が涙を流している時、私は思いのほか冷めた気持ちでテレビ画面を眺めていた。
悔しさを通り越して冷めていた。そんな私は非国民だろうか?
しかし私が思うに当の中田こそ、日本で最も冷めた目で日本代表を見ていたはずだ。

彼はすべてを分かっていた。代表の力を冷静に把握していた。だが、分かっていたからこそ
出来なかったことがやりきれないのだ。有言実行のサッカー人生を歩んできた彼にとって、それが悔しい。
その想いと心に決めた決意とが共鳴し合い、最後の笛と同時に溢れ出たのだろう。






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2.だからこそ、惜しい。





中田英寿の最後の試合となったブラジル戦。私が前回の日記で描いたような夢は起きなかった。
そう、起きるはずがなかった…、 結局は1ー4の惨敗…。
しかし私と同様、事実を冷静に受け止めた人は案外多かったのではないか?

あれだけ期待された日本であったが世界との差は歴然だった。これがワールドカップなのだ。
一定期間に世界各国が本気で対戦し合うため、均一に比較し易く素人でも気づかされる。
開幕戦のドイツを観て、私は改めて驚かされた。トラップ、パス、センタリング、シュート…
一つ一つの技の基本的な精度が違う。オーストラリア戦までに、他国の試合を観戦していた私は、
すでに愕然としていた。今の力の日本は決勝Tにふさわしいチームではない…と。

貧弱なフィジカルやゴール前の決定力は以前から分かっていたことだが、ショックだったのは
トラップやパス、センタリングなどの基本的な技の精度だ。オーストラリア戦の駒野のセンタリングは、
1本たりともマトモにゴール前へ入ってない。俊輔にしろヤナギや高原、小笠原もそうだ。
何度となくアタッキングゾーンにパスを試みても、稚拙なトラップ一つでチャンスが萎えていく。

百歩譲って下手なのは仕方ないとしても、最もショックだったのは持久力や精神力の脆弱さだ。
これって、日本人が世界と勝負出来ると思われていた数少ない能力ではなかったか?
それすらも勝負にならなかったら、一体どうやって世界に勝とうとしていたのか?
アウェーで行われる真のワールドカップは、沢山の真実を日本人に教えてくれた。



だからこそ、

中田英寿の引退が惜しまれるのである。





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3.ヒデが伝えたかったこと。





我々が気づかされた日本代表の真実を、中田はすべて分かっていた。それゆえ彼は従前から
『このチームにW杯を勝ち抜ける力はない』『走れなければサッカーにならない』と云い、
『基本的なことが足りない』と語った。叱咤激励ではなく、彼は知るべき事実を伝えていたのだ。

代表新監督に内定したオシム氏が、中田と同じ事を述べていた。
『日本はできるサッカーと、やろうとしているサッカーが違いすぎる』
『日本人は、自分たちがまだまだ弱いという自覚を持つ事だ』…と。

中田がずっと我々に伝えていたのはこのことである。
日本人がどのように世界と戦うべきかを、自らのプレーで伝え続けていたのだ。




世界平均から云えば、中田はとりわけテクニックや速さがある選手ではない。
技術ならば俊輔や小野の方が上であり、他の日本人でも速い選手はたくさんいる。
ではなぜ彼が、引退を世界レベルで惜しまれる程の選手として認められていたか?
それはフィジカル(身のこなし)や視野の広さであり、それ以上に、
実際に接した人間から評価を受けているのが精神力、つまり「高いプロ意識」だ。

フィジカルの強さは海外へ渡る前から強かったわけではない。海外に渡ってから創り上げた能力だ。
相手と自己の能力を見極めて、必要な事を適切に判断しながら身につけていくプロ意識が成した結果である。
語学習得の能力もプロ意識の現れだ。決して彼の頭の良さとは関係ない。あくまで意識の問題。

もう一つ忘れてはならないのが、海外一流リーグの経験そのものである。ここで云う経験とは
「身体で覚える経験」のこと。特に『1対1の場面』の話だ。一流の選手がどんな速さでどんな動きをするのか?
どんな当たりをしてきて、どんな狡さを持っているのか?これは絶対に経験しなければ分からない。
今回の日本代表に感じたのは、DFこそ海外へ行くべきだということだ。


並外れた身体能力や魔法のようなテクニックを求めても仕方がない。しなやかでバランスのいいフィジカル、
高いプロ意識、海外経験そのもの…。日本人ならば誰もが、意識の持ち方で身につけることの出来る能力だ。
彼が世界を相手に武器にしていたものはこういう能力である。


世界に近づくためには、とても地味で基本的なことが必要だと、中田は伝え続けていたのだ。







(下記へつづく)


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7月9日(日)『中田英寿という時代【2】』
4.「王様」から「闘将」へ
5.「中田時代」とは。
6.必ず帰って来てほしい。

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060708
taichi


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