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2006年03月30日(木) 寝台特急『北斗星』。


寝台特急『北斗星』
濃紺にゴールドのラインが渋い車両。
夕方のラッシュを控えた、札幌駅のホームに入って来る。

月に何度かは、空港と駅とを頻繁に往復している快速列車に乗って
札幌駅まで出掛ける。はっきりとした用事がある時もあるが
ぶらりと出る事もある。
最寄の駅から往復520円、所要時間は往復で16分。

頼まれた買い物や通院で出掛けた時は、帰りは夕方になる事が多い。
どうやらその時刻が、無意識に毎度ほぼ同じ頃であるらしく
だから、乗る予定の快速列車を待つ隣のホームに北斗星がいつも入って来る。

「北斗星2号が入ります」

駅員さんの声に、私はいつも振り返ってしまう。
北斗星の車両が昔から好きなのもあるけれど、子供がある程度大きく
なった頃から、ぼんやりと「これに乗って行きたいな」と思う事が
多くなった。
いきなり乗っちゃっていい物なのか、切符は車内で買えるのか。
もし買えるとしたら、片道分くらいならお財布に入っているし
ぽんと乗っちゃえば 列車は一晩中走り続け、朝には上野に着くはずだ。

辺りを見回すと、一緒に快速列車の到着を待っている、何故か男の人
ばかりが(それもほとんど初老の)じっと北斗星を見詰めている。
必ず何人かは無言でじっと、自分が乗るはずではない列車を見ているのだ。

そんな視線を確認すると、私の中の何かが満足するらしく、あとは黙って
自分の乗る快速列車が到着するのを待つ事になる。

「・・・と、言うわけなのよ」

ある日私は、家族にその話をした。

「なんでか止まってるのよ、北斗星が。で、これに乗っちゃったら
どうなるかなあ、乗っちゃいたいなあって、いつも思うんだけど」

「今頃そんな事言ってるのかい。私なんか北斗星が出来てから見るたび
いっつもそう思ってたけどね」と母。

「あれは着いたら上野だよね?上野って言ったら動物園だよね?」

「西郷さんもいるよ」

「駅で降りたらいきなり動物園じゃないぞ」遊びに来ていた弟。

「東京知らないのに、降ろされても困る」

「じゃあ、そのまま駅員さんに言って、別の北斗星で戻って来れば

「幾らかかると思ってんだ」

「ホームに入ると、みんな見てるよね〜北斗星」 

「うん、見てるね。乗ってるのは案外普通の人ばっかりなんだけどね」

「当たり前だ」


具体的などこかへ行きたいんじゃなくて、列車の窓を知らない景色が
流れて行くのを見たいのだ。何を考える事になるのかは、その時に
ならないと判らないけど、何かをぼんやり考えながら。

行ったきりの人は帰りの列車に思いを馳せ、行かずにとどまる人は
特急列車の窓が映すだろう、見た事のない風景に思いを馳せる。






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