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歩いていてある日、道が途切れていたらどうしようか。
そこまでは平坦な道だったかも知れない。 大きな山坂を越えた、直ぐあとだったかも知れない。 道の先はそのまま、永遠に途切れたままではなくて 少し向こうに、また何事も無かったように伸びている。 道があるうちは、人は歩き続けなければならない。
飛び越すには遠い。回り道は一見しても見当たらない。 背中を押してくれる誰かの手を感じても、手は専ら 背中からのものであって、向こう岸から引っ張って くれるわけではない。
そんな時はどうしよう。 人は一生を黙々と歩いて行く生き物だから、歩くと言う 行為以外に中々思い至らない。 座って休んでみる事も、辺りの様子を見ることも 多分必要な事であろうに。
座り込んだら眠ってしまうかも知れない。とても疲れているから。 そして夢を見るだろう。 夢はきっと、何かを教えてくれるだろう。 回り道の在り処や、向こう岸へ、崖を飛び越す方法を。 崖を跳び越す夢を見るかも知れない。 それを正夢を信じて、飛び越す勇気が出るかも知れない。 いずれにしろ、また立ち上がるために座リ込むのだ。 人は、ずっと座リ続けている事すら中々ままならない 生真面目で忙しい生き物だ。
道がある限り、前に進む。 途切れていても、もう駄目に思えても、途切れた道をみて それが途轍もなく 情け無い事に思えても。 座り込んで目を瞑ってみよう。 決して強くもない割に、無茶で頑固な生き物は 自分の道を 歩く事を諦めないために、夢にまで頼っても歩く。 そんな生き物を哀れに思ってか、時々優しく暖かい夢を 疲れ切った頭は見る事がある。
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