もうちゃ箱主人の日記
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大相撲の賭博問題、たいへんなことになってますなぁ。
ま、いろいろ言いたいこともあるんだが 今日のところは、元 法学部という立場で、薀蓄を少々、、、 (ええかっこして、墓穴を掘らねばいいが、、、……(^^;))
今の刑法(平成7年(1995年)改正、通称:口語刑法)では
賭博について、いきなり
>第185条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。 ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、 この限りでない。
となっていて、「賭博とは何ぞや」という説明がないのね。
いわゆる 旧刑法では こうなってました。
「偶然ノ輸贏ニ関シ財物ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタル者ハ 五十万円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス 但一時ノ娯楽ニ供スル物ヲ賭シタル者ハ此限ニ在ラス」
輸贏って字、読めないですよね。 ほんとは、「しゅえい」って読むらしいが 読めないで、誤って「ゆえい」と呼ぶ人が多く いつのまにか「ゆえい」が一般化したらしい。 (むか〜し、おべんきょした知識です(^ω^))
さて、この賭博罪は 「偶然ノ輪贏 二関シ 財物ヲ以テ」とあるので この2つが構成要件となる。 (どちらかが、欠ければ、罪とならない)
財物の帰属を偶然の結果にかからせること、と説明される。 金銭の多少は、賭博罪の成否に関係しない。
重要なことは 但し書きの 一時の娯楽に供する物を賭けたときは罰せられない、という点。
さらに、重要な判例があった。
>当事者の一方が危険を負担せず、常に利益を取得する仕組みになっている 場合は賭博とはいえない (大審院 大正6-年4月30日判決)
昔べんきょした いくつかの例を、思い出してみると、、、
・テストでいい点を取った方に、1000円を与える。 → 「偶然」でないので、賭博罪にあたらない。 (同様な例は、美人コンテスト等々)
・パーティーなどで行われるビンゴゲーム →当事者の一方が景品を用意するだけで 片方は負けても損をしないので、上記判例に照らし 賭博には当たらない。
・いわゆる <いかさま賭博> → 勝敗が一方当事者によって全面的に支配されているので 詐欺罪を構成し、賭博罪は成立しない(最判昭和26年5月8日)
も一度整理すると、 輸贏は、広辞苑では「(「輸」は負け、「贏」は勝ちの意) 勝負」とある。
賭博罪が成立するための、「偶然によるところの勝負事」は、 客観性によらず主観的なもので足りるとされることから、 かなり広範囲になる。 ゲームなどにとどまらず、スポーツや自然現象も含まれるから 例えば、「明日の天気の予想」も偶然の輸贏となる。 (ゲームという点では、判例で、囲碁、麻雀をその対象としている)
<『偶然の輸贏』に関する主な判例>
・大審院大正11年7月12日判決 「「偶然の輸贏」とは、当事者にとって確実に予見したり、その意思により 自由に支配できない事実に関して勝敗を決めることをいう。」
・大審院大正3年10月7日 「賭博罪成立のためには、勝敗が主観的に不確定事実に係ることで足り、 客観的に不確定であることを要しない。」
・大審院昭和6年5月2日判決 「麻雀の勝敗は技能・経験に左右されるが、主として偶然の事情に基づくから 「偶然の輸贏」にあたる。」
・大審院大正4年10月16日 「勝敗が単に技量のみにより決まらず、偶然の事情の影響を受けることが ある囲碁についても、賭博罪は成立する。」
このほか、面白いのは 判例では、賭博罪は挙動犯で 財物を賭けて勝者に交付することを予約するだけで既遂に達する、とされる。 つまり、賭銭を場に出し、花札を配布すれば、たとえそれが 親を決めるためであっても既遂となる(最判昭和23年7月8日)
数年前の いわゆる新潟県警事件でのマージャンは、警察庁の見解で 賭博罪に該当しないと説明されたのは 次のような理屈付けによる。 (こどもじゃあるまいし、図書券なんてねぇ 実際はどうだったかわからない……(^^;))
●新潟県警察をめぐる事案 「マージャンは、満貫賞の景品として本部長が五百円の図書券二十枚を 私費で購入、提供していて、その都度図書券一枚が配られているので、 財物の得喪を争っていないことから、刑法百八十五条の賭博罪には 該当しないものと考えられる。(第147回国会 法務委員会)」
ポイントは、 1.景品は本部長の自腹である 2.賞金ではなく、図書券という景品である 3.勝負事の結果で景品が渡されたわけではない
下記サイトほかを参考にしました。
http://kokonoka.cocolog-nifty.com/tei/cat3366896/index.html
もうちゃ箱主人
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