もうちゃ箱主人の日記
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2008年12月08日(月) 鰍沢 そして…

遅くなりましたが、鰍沢(かじかざわ) について

圓楽師匠が故・圓生師匠から聞いたこととして語っていたが
圓生師によれば
「(この噺は)噺としては、取るに足らない作品であるが
 こういうつまらない作品を面白く聞かせるのが
 話者の技倆だ」

   …ということだ。


たしかに
大山参り帰りの江戸の商人が山で道に迷い
一夜の宿を求めたところが、山賊の家で
その妻が昔、江戸で女郎をしていた女だった。
 (細部は違うが、《ワルキューレ》みたいね……(^^;))
その妻に毒を盛られたが、毒消しのお札で難を逃れ
逃げ出したものの、脚がもつれ谷川に落ちる。
後を追った女に、猟銃で撃たれ、イカダがほどけ
その木片で溺れるのから助かる。
オチは、「お題目(ザイモク)で助かった!」
という、地口サゲ。

スジは、ご都合主義で、陳腐極まりない。
(作者 円朝は三題話を発展させたと伝えられているが、
  この真偽は疑問とされているようだ)

こういうしろものを、「傑作」に「変身」させるのが
「芸の力」という圓生師の説には、説得力がある。
実は、その後に、
 「この噺は、自分(圓生)が一番ウマイ!」
と言う意味がかくされているようのだろうが (笑)
いかにも圓生師らしいエピソードと思う。

(余談だが、陳腐な作品を、「傑作」みたいに
  聴かせる音楽家といえば、カラヤンをおいてない、と思う。
 彼の手にかかると、《ラ・ボエーム》がワーグナーの楽劇みたいに
 聞こえる……(^^;)
 憎まれ口をきくなら、
 反面、モーツァルトの「傑作」を「駄作」にしちゃうことも……(^^;))


さて
そんな「鰍沢」を換骨奪胎したのが
平岩弓枝・作の 「笠と赤い風車」!
 おそらく戦後に作られた古典落語最大の傑作といっていいと思う。

噺としては、実によくできている。

先代 正蔵師匠(後の、林家彦六)に宛、作られたが
現在、何人か継承している。

さて
これを
「鰍沢」と比較して聞くと…

あとは、また後日ということで(笑)

 (一度、彦六師のCDを、聞いてみてください)


もうちゃ箱主人