もうちゃ箱主人の日記
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| 2008年03月01日(土) |
アラ・ブレーヴェには、泣かされる |
少し音楽の話題に欠けたので たまには、苦手の楽典のお話を…
アラ・ブレーヴェ alla breve。 大文字のCに縦線を1本入れたこの記号は 表示できませんので、仮に「A」としましょう。
モーツァルトの交響曲第39番の序奏のテンポ表示が 自作品目録や、ケッヒェル作品目録で アラ・ブレーヴェで書かれているのに 19世紀末の旧全集で突然 C つまり4分の4拍子に 変更されたことは、もう有名ですね。
これが、NMAつまり新全集で これまた何の説明もなく、アラ・ブレーヴェ記号に 戻された、これも、もはや 知らない人はない…と思います。
現在、アラ・ブレーヴェの記号Aは 一般に 2分の2拍子を意味する、とされています。 が… 歴史を遡ると そんな簡単な話でなく 調べれば調べるほど、わからなくなる。… (^^;)
困った時の、 ニューグローヴ世界音楽大事典を 読めばわかる! かというと とんでもない。
次のように書かれており さらに、わからなくなること請け合いです。
>中世から受け継いだ記号。 《中略》 理論家たちは、拍子記号に縦の棒線を付す操作や記号を逆転する操作を 音価の縮小として解釈し続けたが、 4/4拍子を意味するCと2/2あるいは4/2拍子を意味する「A」 アラ ・ブレーヴェalla breveが区別される場合でも、 それぞれの拍のテンポが等しいものとして意図されているか どうかは全く分からない。
16世紀になるとC記号はあまり用いられなくなり、 大部分の多声楽曲の基本的な2拍子は「A」で表示されるようになったが、 17世紀初頭にはちょうどこれと逆の慣習が一般的になっていく。 《後略》
何だかわかりませんよね。(笑)
この記号の使用法は、 19世紀になっても一貫性が全く見られず、 たとえば シューベルトはしばしば「A」を4/4拍子アダージョ楽章に。 Cを速いテンポの楽章に用いていると考えられてきました。 (しかし、新シューベルト全集では、Aをそのまま復活したので 例えば、グレートの新しい録音では 序奏を2/2拍子で演奏するようになりました)
さて モーツァルトでは、ハフナー交響曲や 幻想曲ニ短調が、古い楽譜はC、 新全集では、アラ・ブレーヴェ記号Aに変わっています。
基本的には、アラ・ブレーヴェは 2/2拍子で、演奏するようになっています。 (最近の演奏のテンポが早いのは ここにも理由がある)
ここで、ご注意! 果して モーツァルト時代のアラ・ブレーヴェ記号を 2/2拍子で、演奏するのが正しいのか?
まだ、確定的なことは わからないのでは、と思います。 少なくとも、モーツァルトについて 詳細に証明した論文は 浅学にして、まだ見ていません。
当然触れるべき NMAの交響曲第39番のKB(批判的校正報告)でも この問題を避けているようです。 (自筆譜通りの、アラ・ブレーヴェの表記にしただけさ! という感じです。演奏家は困るでしょうね)
このテーマでの文献を ご存知の方、ご教示下さい。
もうちゃ箱主人
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