もうちゃ箱主人の日記
DiaryINDEXpastwill


2005年02月07日(月) 私の好きなゲンダイシ(3)

今日 散歩の途中
近所の古書店で 現代詩文庫「黒田三郎」を購入。
何年ぶりかで、この詩↓を読んだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−
  あなたも単に


 あなたも単に
 ひとりの娘にすぎなかったのだろうか。
 とある夕あなたは言った
 「あなたに御心配かけたくないの
 私ひとりが苦しめばそれでいいのですもの」

 あなたも単に
 ひとりの娘にすぎなかったのだろうか。
 とある夕あなたは言った
 「あなたがひと言慰めて下さりすれば
 私がどんなに苦しんでも
 それで十分報いられたのでしたのに」

 あなたも単に
 ひとりの娘にすぎなかったのだろうか。
 とある夕あなたは言った
 「あなたなんて
 一寸も私の苦しみを察してくださらない
 あなたなんて」

      (詩集「ひとりの女に」より)


<ひと言> 一見、高校生の書くような感傷的な詩にも
   みえてしまうが、「暗く重い」背後の影を読み取りたい。
   他の詩にみられる自虐的なまでの叫びと合わせて
   読むと理解しやすいと思う。

 「黒田三郎の詩が感動をあたえるのは、黒田自身が生の
  煉獄にいて様々な苦しみに堪えて来たことから、
  他者に見えないものをみる力を持っているからです。
                  (三木卓) 」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*黒田三郎 1919年-1980年。

広島県呉市に生まれる。
3歳の時、父の郷里、鹿児島に移住、
  旧制第七高校卒業までを過ごす。
東京大学経済学部に入学し、
  実存主義哲学に熱中する。
1937年 北園克衛のモダニズム詩誌『VOU』の同人となる。

太平洋戦争の最中、国策会社に入社インドネシアに赴任。

1945年 現地召集で軍隊に入隊。
     敗戦後、捕虜として労役に就く。
1946年 帰国。NHKに記者として入社。
     詩誌「荒地」の同人となる。
1948年 肺結核を発病。入退院と喀血を繰り返す。
1954年 詩集「ひとりの女に」でH氏賞受賞。「歴程」に参加。
  次々と詩集を出し、詩壇に地位を確立する。
1960年 日本現代詩人会理事長に就任。
1965年 NHK中央研修所教授となる。
1966年 胃潰瘍で吐血。「詩と批評」を創刊。編集に当たる。
1968年 鎖骨骨折で入院手術、翌年NHK退社。
1980年 病没。


もうちゃ箱主人