もうちゃ箱主人の日記
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| 2005年02月03日(木) |
わたしの好きなゲンダイシ(2) |
昨日に引き続き Webで拾った現代詩から……
////////// 田村隆一
帰途
言葉なんかおぼえるんじゃなかった 言葉のない世界 意味が意味にならない世界に生きていたら どんなによかったか
あなたが美しい言葉に復讐されても そいつは ぼくとは無関係だ 君が静かな意味に血を流したところで そいつも無関係だ
あなたのやさいい眼の中にある涙 君の沈黙の舌からおちてくる痛苦 ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう
あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか きみの一滴の血に この世界の夕暮れの ふるえるような夕焼けのひびきがあるか
言葉なんかおぼえるんじゃなかった 日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで ぼくはあなたの涙の中に立ちどまる ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰っていく
>現代詩文庫 田村隆一詩集より
<一言>初めて読んだ時、受けた冒頭の 「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」の 強烈な印象は、今も忘れない……
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もうちゃ箱主人
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