もうちゃ箱主人の日記
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西脇順三郎の詩の受容史を考える時 避けて通れないのが、「神戸詩人事件」なのだが この検討はいまだ十分になされていないようだ。
新倉氏による最新の『評伝 西脇順三郎』には、この項目が すっぱり欠落している。 西脇氏晩年の側近による著書だけに、やむを得ないが (西脇本人には、口にしたくない思いでであろうし) どのくらい不愉快がっていたのか、だけでも触れてほしかった、 と思う。
権力側の想定した構図は シュールレアリスムの総帥ブルトンのコミンテルン接近(やがて 離反する) を受けた日本モダニズム陣の精神的主柱が、「西脇の詩」と いうものなのだろう。
西脇本人にとっては、自らの預かり知らぬところで起きた 「迷惑な」事件であったろうが、戦前の西脇詩にそうした一面が 内包されていた(少なくともそう受け取られた)ことは、事実で あろう。
一見 コミュニズムなどと何のかかわりもなさそうな 西脇詩のどこに、そんな嫌疑を抱いたのであろうか? とても気になる。(^^;) 特高課や予審判事の調書などの学術的検証が待たれる。 だれかやってくれる若者よ、出ておいで!(笑)
……………………………………………………………… ・神戸詩人事件
1937(昭和12)年に小林武雄氏らが結成した「神戸詩人 クラブ」のモダニズム詩人ら7人が、40年3月、兵庫県警 特高課に検挙された事件。 各地の左翼文化団体を指導、支援したなどとされ、小林氏は 懲役3年の実刑判決を受けた。 http://www.geocities.jp/gpoku1/kobayashitakeo.html
・・・・・・・・・・ <参考>: 西脇の詩ではないが 「神戸詩人事件」で問題にされたという詩の一部。
>思い切りみだれている黄菊、白菊 すこやかなそらのなかへめげてはな らないいのちをたかだかとかざし 穢れのないうたにむせびながら菊の 系図、男の系図 それぞれまもってきた
>菊はみな菊の族によりそい おとこはすべてを銃身にゆだね なみだぐましいかおりと体温をたかめている
〜岬紘三「乱菊」;詩誌『牙』(昭和11年3月)
http://www.noracomi.co.jp/takahashi/housho/shusho.html
もうちゃ箱主人
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