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「つまり、お母さんはボクと会うのが面倒なのかな?」
そう、長女の彼氏が言ったそうだ。
そりゃそうだ。 せっかく我が家にご訪問して挨拶したいと言ってきてるのに、 玄関先で挨拶するだけでOKだと、私が勧めたんだもん。
「うん、面倒」
きっぱり、長女に言ってやった。
だってそうでしょ? たかが、彼氏だよ? 婚約者じゃないんだよ? それも、16才も年下の男と、何を話すのさ? 確かに私は中島みゆきがちょっと好きで、 彼氏も中島みゆきが好きらしいけど、 中島みゆきで盛り上がれるほど、私はみゆき嬢のことを熟知していない。
「彼女の家に来るのなんて、彼氏もしんどいでしょ?」
「そんなこと、ないよ〜」と、長女は言う。
(そんなこと、あるよ〜。緊張するし、話題に事欠くし、絶対に面倒だよ〜)
そう、心の中で叫ぶ母。
そうだ、私は、人生を、面倒かどうかで選んできた。
高校受験も、受験勉強を頑張るのが面倒で受験校を決めた。 夫婦喧嘩した時も、離婚を持ち出すと面倒なので、なーなーにしてきた。
とりあえず、楽な方へと流れる人生だ。
これでいいのだ。
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