※ 痛い話です。 不得手な方は……逃げてー。
時々、無性にお菓子を作りたくなります。 大抵はストレスがたまっている時なんですが──お菓子作りって、力仕事が多いのでかなりイライラ対策に素敵──さらに切実な理由がある時があります。 That'sびんぼー。 お菓子は買うと高いのです。 めったに作らないのに、作りたい波が押し寄せると一から器具を買いそろえてしまうので結果として高くつくのですが、そこは見て見ぬふり。大人は気がつかない振りが出来てなんぼってもんです。 ……ワッフルメーカー、欲しいなぁ。絶対、絶対、一・二回遊んだら無駄にするけれど、欲しいなぁ……きっとあれさえあれば、毎日が楽しくなる気がする。原稿だってバッチリ…………………………………はっ。今、何か悪魔が囁いたような気がするわ。いけないいけない。本筋に戻ります。
ということで、2月は見事にクッキー月でした。 理由は簡単で、某所で見かけた手づくりクッキーにくらくらしたのです。 実にんまそうでした。 うずうずクッキーも素敵。 クッキーブームが襲来なのです。 あまりに盛り上がったため、夏コミカットもクッキーでした。途中までクッキーじゃなかったのに、突然クッキー。クッキーの神が舞い降りたのです。突然すぎて変ですが、ま、いいか。 ……かくして、100均クッキーを食べるものの、なんか違う。新聞で見かけたクッキー屋に通うものの、高い。敷居がではなくて、値段が。ほとんど同意という気もしますが、一枚、80-120円。もりもりと買えば、あっさりと大枚がとんでいきます。クッキー5枚と文庫本一冊が等価なんて厳しいにも程があります。 中学生よりも貧乏を自認する私はここで気がつきます。 クッキーが買えないのなら、作ればいいのよ。 あったまいー。 繊細なデコレーションがなければ、なんとかたぶんいけるはず。 えーと、型と、粉と、バターは去年何かのブームで買い込んだものがあるから(何のブームかはまったく覚えていない……いかに一過性だったかがこれで知れる)それを回して……。 うきうきです。 盛り上がった心は止まるに止まらず、考えるのも恐ろしいほどの材料を買い込みました。この買い込み代でかなりの量のクッキーが買えた気がしますが、それに気がついてはいけません。
クッキー量産時代の幕開けでした。 ぶらぼー。 自分で作ると、バターの量の恐ろしさを痛感しますが痛感するだけで実感しないのがコツです。
そして、その夜もクッキーを大量生産し、机の上にクッキー型を置いて寝たのでした。なぜか、そうした器具は部屋保管なのです。 ちなみに私は布団派です。美しい日本の住宅事情により、机の下で寝ています。 家にはねこがいます。 このねこによる人の起こし方は、ご存知の方はご存知ですが暴力です。耳元でコンビニ袋シャカシャカの刑など確実に人のいやがる方法を編みだす知恵は、あの小さな脳みその何処から思いつけるのか摩訶不思議でなりません。
ああ、もう、お判りでしょうか。 いつものごとく、夜中に下僕を叩き起こしたくなったねこ様は、机の上のものをすべて机の下の下僕に投げつける手法に出たのです。 その中に、クッキーの型が混ざっていたのは運命だったのです。 真っ暗闇の中、叩き起こされ、ねこ様のご所望の食事の用意をしようとして 思いっきり、踏みつけました。 クッキーの型。 踏みつけただけでなく、拙いと思った瞬間、うっかりと踏み込んでいるほうの足に体重移動してしまいました。逆だ! 逆! 型はねじれて、ぐぎゅうっと…………。 あのね、くっきぃのかたってね、ステンレスでね、ふむといたいんだよ。 にんげんのあしと、くっきぃのきじとどっちがかたいのかなぁ。
 土踏まずをクッキー型に抜くという新手の拷問を自己開発してしまった私は涙も出ず、ただ床に転がるのみでした。しかも、よりによってなのかなんなのか、型は花型。たくさんの花びらはエッジとしての使命を果たし終え、ただのスクラップと成り果てています。 さすがに事態の異常性に気がついたのか、ねこは私の足を……舐めるなぁぁぁぁ。
歩けるようになるのに、二週間を要しました……。
……でもいいなぁ。ワッフルメーカー。はっせんもするけれど。私の愛しているベルギーワッフルも、簡単に……ぶつぶつ……ワッフルが買うと一枚100円として、80枚作れば元が取れるし!(あえて目を向けていない所は、見て見ぬふりが大人ってものです)
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