静電気体質です はじめてそれに気がついたのは、中学の頃でした。何の気なしにショーウインドウに触れた瞬間、ばちっ!と音と共に、痛みが走ったのです。 当時はそれが静電気とは思わず、防犯システムの一環だと信じ込み、「私のような下々のものがウインドウに触れてはならないのだ」とかたくなにウインドウに近寄ることなく暮らしていました。 ──その後、誤解はとけましたが、習性になってしまっているので各種ウイドウにはさわらないように生活しています。 勿論、そんなに気を遣って暮らしてみても、車に乗ったり、人に触ったり、机に触れたり、猫をなでたり、ありとあらゆる場面で静電気を引き起こしています。相手が蓄電していようが、していなかろうがばちばちと。ちょっと、痛いですし、なにより突然なのでびっくりです。
そして、今の日常で欠かせない日課はせこさんのお散歩です。 朝晩各一時間は堤防を散策します。 最近は日の出が早いので朝の五時にはせこさんとともに堤防出没です。 ちなみに、朝の五時だと言うのに堤防は盛況です。犬の散歩にウォーキングにジョギングにサイクリング。自衛隊の人の行軍にトランペットの練習にと、人のことは言えないのですがお前らまとめて暇か、と毎朝思わずにはいられません。 が、今日は、誰もいません。 遠くで雷が鳴っています。雨も土砂降りでした。いくら散歩が好きだからと言って普通の分別のある犬は大人しくしているはずです。 この後先考えない犬の散歩につきあって早朝散歩しているうちに、去年は落雷からあんにんさんを守ってやれなかった……としみじみ回顧しながら歩いていますと、 ばちばちばちっ! とものすごい衝撃が走り、傘と私から巨大な火花が幾つも幾つも舞いました。痛いとか、綺麗とかよりもただただびっくりです。心臓、バクバク言っているのが自分で判ります。 薄暗い堤防で私だけが意味不明に発光して…って、火花のように真白な呆然頭を動かしてみれば、先ほどよりも激しい稲光。 ああ、雷が鳴る時は、そもそも空気中が帯電しているんだねぇ、雨なのに静電気が起こるほど激しく。と感心してようやく我に返りました。 場所は堤防。誰もいない。そもそも、堤防には何もない。樹すらも。周り500mの中で明らかに私だけが1mオーバーの高さです。これは静電気と言うよりも、ぷち落雷。 ………私、避雷針? せこさんの避雷針? むしろ、格好の落雷目標? 速効で帰宅しましたが、せこさんだけが不満そうでした。 散歩さえ出来れば、後のことはどうでも良いんでしょうか。良いんでしょうなぁ。 とにかく、雷は遠いと思っても堤防をうだうだ歩くのは危険行為です。小学校で教える知識はとても正しいのです。 火花に彩られた傘はすごく綺麗でしたけれど、二度は見なくても……いいなぁ……。
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