ことばとこたまてばこ
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| 2006年11月05日(日) |
二周年を祝して 『天 -3- 言葉を知らず体で知って』 |
産まれ育った森にひそむ少年
母なる狼の遠吠えにひくりと右の口端が動いた
小鳥のさえずりに少しく目を見開いた
草葉のざわめきに合わせて髪を振りまわした
川のせせらぎに身体のこわばりがほぐれた
ある日、産まれ育った森に二本足のけだものがやってきた
大丈夫かという声にぎらりと歯を剥く
君を助けにきたという声に大きな叫びをあげる
暴れるんじゃないという声にひときわ凶暴に暴れた
私はあなたの母さんよという声にうなり爪をたてる
ごめんなさいという声につばを吐きつける
愛してると声もなく抱きしめられる
野生児に見られる変化はすこしばかりであったけれど 野生児の少年、何かちぃっと思い出したよう、な。たぶん。 目の色がすこしく変わっていたよう、な。たぶん。
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