顔面の剥がれた木彫りの地蔵尊、月光にさらされて小指をこつこつひきつらせた。ぎりぬるとまんまるく眼を見開いた般若、潮にさらされてげつげつと笑いを漏らした。呼吸を静かに整えている、その静かな者ら。瑞々しい青色のしゃりしゃり坊主頭の童、色様々に変化する変わり玉に眼を見張って。土埃にまみれて歯と眼だけがぎとぎと白く輝く男、強い酒をくらって溜飲を下げようと。呼吸を懸命に行っている、その姦しい者ら。