やがてのこの子の記憶、粗い粒子の白黒の陰影。海の底から、水の中から、空の極みから、この子は顔をのぞかせる。記憶と無限、このふたつの仲の悪さときたら、そらもうあんた立ち尽くすだけだす。でも絶望ではないのね、互いのふしぎに心地よい浸食。きょうもまたぼくはこの子の顔を忘れてゆくわ。きょうもまたぼくは消えつつあるやね。そこに無限はどこにもない。ひけけ、無情だ。泣ける。あんまりにもハッキリとひどいもんだから逆にうれしいわ。