ことばとこたまてばこ
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| 2005年09月26日(月) |
皺も口もなんだかいっしょ |
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。
商店街のどまんん中で、喉をも張り裂けんとばかり全身全霊で泣きわめく年端も峠を越した祖母。一杯まで開いた入れ歯もない口内は黒々とした穴がぽっかりのぞく。そんな涙に濡れる皺だらけの老婆が泣きじゃくる様子というのはどうにもこうにもやるせない。しっかりしろ!と細い肩をゆさぶりたくなってしまう。
かあちゃん、あんなに行儀に厳しかったあんただろ!そんなことすンなよ!と思ってしまう。
通り過ぎる通行人はおれたちを交互に眺めて何も読みとれない顔で一瞥を投げて去ってく。トンボの飛びかう空は夕焼けに真っ赤だった。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん。
直接の泣き声は聞こえぬけれども、ぐわんぐわん頭を反射する。おれは何も聞けないはずなのにどうしてこんなに音が響く。うるせえなあ、うるせえなあ。世界よ、各方よ、ちったあおだまりよう。うるせえね、うるせえね。どんなに耳をおさえても、あぱぱぱぱぱ。たまらなくうるせえね!
かあちゃん、どーしてそんなに泣いている。 此のチョコボールが食べたい!
目の前の店に置かれたチョコボールをヨイヨイと震える指で差したかあちゃん。
チョコボール!? チョコボール! あらっ、チョコボール!? チョコボール! あっはははは、チョコボール! チョコボォォォォォォォォォォル!!
これから夕焼け小焼けに照らされながらにこにことほほえむばあちゃんとお手手つないでみそ汁香り漂う妻待つ我が家に還ります。
かあちゃん、ご覧よ、あんなにトンボ飛んでる。
チョコボール口いっぱいほおばらせて、眼を細めながらもごもご口を動かせた。 かあちゃんの口まで目線を下げて口を読みとると何十年、幼い頃から見つめてきた口はこう言ってた。
ほんに秋ね。ほんにのぅ。
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