日常のかけら
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◇焼き芋食べたい◇

「なあ、焼き芋が食いたい」

笙玄が落ち葉を掃除しているのを見て言えば、

「笙玄に言え」

すげない返事が三蔵から返った。
じゃなくて…

「えぇ―っ、三蔵としたい」

振り返ったら、

「出来たら呼べ」

そう言って、部屋を出て行った。

「三蔵!」

慌てて後を追ったけど、もう姿が見えなかった。
何だか腹が立って、廊下の石畳に八つ当たりしていたら、笙玄に聲をかけられた。

「悟空、どうしたんですか?」
「なんでもないっ」
「そうですか?じゃあ、私と焼き芋しませんか?」
「…へっ?」

びっくりした。
三蔵の声とか俺の声とか聞こえたんだろうか?
凄いタイミングで言われたから、返事しなかったら、

「嫌ですか?落ち葉が思ったよりたくさんだったので、燃やすついでにと思ったんですが…」

しょぼんと肩を落とすから、

「ううん!お、俺も焼き芋食いたいなあって、三蔵に言ってたところだから嬉しい」

急いで言えば、嬉しそうに笑ってくれた。

「じゃあ、急いでお芋、持ってきますから、悟空は中庭で待って鋳て下さいね」
「うん!」

俺は笙玄に頷きながら、焼き芋が出来ても三蔵にはやらねぇって思った。

(悟空)

2014年11月11日(火)