日常のかけら
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◇法要のあと◇

「うわぁ…煤だらけじゃん」

新年最初の護摩炊き法要が終わって帰ってきた三蔵は頭の先から法衣の裾まで薄汚れていた。

「うるせぇ」

ふるふると頭を振ればふわりと灰色の煙が上がる。

「いや、マジすげえって」

ぽかんとした顔で見つめていれば、

「ああ、今年は去年が不景気で良くなかったしわ寄せか何だか知らねえが、やたら護摩木が多かったからな」

そう言って、袈裟を外せば、袈裟の形に法衣の色が違った。

「色が違う…」

指差せば、それを見下ろした途端、盛大に三蔵の顔が顰められ、あっという間に法衣を脱ぎ捨てた。
そして、白衣のまま湯殿に足音も荒く行ってしまった。
俺は、三蔵が脱いで床に落ちた瞬間、法衣からもわっと上がった煙のような煤に見とれていた。

(悟空)

2008年01月03日(木)