煙るような雪の中、あの人が佇んでる。じっと、何かを耐えるように、何かを忘れようとするように。何も言わない人だから、見ているしかない。強くて脆い人だから、このまま折れてしまう気がする。煙るように降る雪の中、あの人は消え入りそうで…。でも、手を伸ばせない俺は、その背中をみているしかない。ねえ…置いて行くことだけはしないで…煙るように降る雪があの人を抱いて、悲しい声で泣いた。(悟 空)