日常のかけら
目次backnextclose


◇…悟空◇

抱いた温もりと柔らかさに凍てついた気持ちが融ける。
小さな声で、舌足らずな口調で名前を呼ぶ。

ほら、その声が俺を溶かす。
煩いだけの存在ではなく、甘いだけ乃存在でもない。
対等に前を向いて、共に歩む翳ることのない真っ直ぐで綺麗な存在。

…悟空

名前を呼べば腕のなかで綻ぶお前。
ただ、抱いて、この腕に閉じこめて、薫る日向に思いを埋めて。

お前がいいるだけで満たされるこの気持ちは何なのだろうな…。

なあ…悟空…。

(三 蔵)

2006年03月03日(金)