日常のかけら
◇サルのくせに◇
また、三蔵に邪険にされたらしい猿が宿の玄関先にうずくまってやがる。 何を言われたのか知らねえけど、大事ならもっと可愛がって優しくしてやれってぇの。 でないと、ほら、隙をついてかっさらわれても知らねえぞ。
見ろ、誘えば嬉しそうについてきちまう。 簡単に食い物で懐柔できちまうんだぜ。 でも、話すことはあのクソ坊主のことばかりなのが、ムカつくんだけどよ。 それでもその顔が嬉しそうだと、不思議と俺も浮かれた気分になっちまう。
ほら、振り返って笑うその笑顔に落ちちまう。
───ちっ、サルのくせに…
(悟 浄)
2006年01月22日(日)
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