声優さんと映画とアニメと
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| 2007年06月23日(土) |
冬の蝉のように(微修正) |
冬の蝉の3巻目を観たいのに、旦那が家に普通に居ると、やっぱり困ってしまうものですねぇ・・・ドラマCDなら、まあ、ヘッドフォンかけてすこし離れて居れば、ばれにくいと思うのですが・・・ そんなわけで、彼が昼寝するか用事で単独で外出するチャンスを窺っていたら、幸いなことに、夕方オートバイを弄りに家を出て行きました、しめしめ1時間は帰って来ないぞ(笑)とばかりに、すぐさまDVDをセットして観ました・・・
OVA冬の蝉(第3巻目)ー東京悲話ー 私、事前にスタッフとか関係者が絶賛したり一押ししていると、観たり聴いたりして、ちょっとそうでもないんじゃないって考える方なのですが、この作品はドラマCDでも繰り返し聞いて、とっくに泣き腫らしてたし、何より、参加はできなかったけれどライブパスコレのDVDで森川さんと三木さんが生の朗読で一番凄まじいシーンを演じていて、あの演技で役者森川智之に惚れ直して以来、ファン街道まっしぐらな自分が居るわけで(コラムのサイトのごく初期にバカみたいに乙女な感想を書いてます、滝汗)出来が悪いわけではないと、特に演技面では、過去の作品より劣る筈はない、それだけは確信していたので、有る意味、確認する気持ちで観たのです。 正直、号泣はしなかったのですが、ぞくぞく鳥肌が立ちました、そしてやっぱり目頭からは水分が流出しました。こんなに分かり切っていても、心臓が締め付けられそうになったのは、やっぱり彼らの演技が熱かったからです。
作画は、1巻2巻に比べると、一番ましというかアップのバランスが綺麗で、原画がんばっているなぁという印象、もともと新田さんの絵はイラスト向きというか止め絵でこそその真価をはっきするというか、総ての動きが止めた絵柄の中で完結して語り尽くしてるというか、ぶっちゃけ(キムタク風)動かすと池田理代子や青池やす子の作品とおなじぐらい変になるパターンの作画だと思っていたので、へたに新田作品のバランスでぐいぐい動いてもらうと、それはそれで気色が悪い絵になるため、このぐらいのデフォルメは丁度良いというか、これでもTVでベルバラ観たときぐらいの違和感は消せないけれども、それでも綺麗な絵が動いているので、慣れればOKでした。
講釈が長くてすみません、アニメの絵の好みは、甲殻機動隊ぐらいのリアルデフォルメ(リアルなようでいて、実はアニメでしか表現できないパースやアングルでの動画、いわゆるジャパイニメーションの真骨頂)が好きなのですが・・・ こういう新田さんのイラストチックな絵柄の場合は、リアル感を損なう引きのパン画像よりも、綺麗な絵柄が生きるアップの多用は大歓迎。 3巻目が戦争シーンでなかったこともあり、ここに来てやっと新田絵を上手く動かして見せる技が見いだせたのかなって感じでしょうか?スタッフの方々の並々ならぬ努力と気合いと執念を感じた、そんなアニメに仕上がった気がします。アニメオタクもどきの私の感覚でも3巻目は合格点だと思います。惜しいのは、色指定のバランスの悪さ、もっと色目やトーンをセンセーショナルに出来るはずなのですが・・・色指定の方のセンスだけが、1巻目からずっと同じ(最初に美術が決まるので、代わる分けないですね)なのが残念でした、背景は良い色目が出ていたので美術のスタッフは優秀、効果も、特に雪の表現や光の処理も光効果の魔術師軍団と呼ばれたマッドハウスほどじゃないにしても、なかなか綺麗でした。アニメ絵の色指定がアニメ動画スタジオの設備機材的制約なのか、単純に色指定して決めた方々のセンスだけの問題なのかは不明ですが、人物の服装に使っていた色目に関しては、注文をつけたい気持ちもあります。 それ以外は、相変わらず引きのアングルと画面構成に、カメラアングル的なセンスの不足を感じましたが、全体のバランスと仕上がりは、かなり良かったです。 すみませんねぇ、スタッフさん怒らないでください。注文が多くて(TT)。 どうやら自分は・・・普段みているアニメでも気合いを入れると、本当は各スタジオの黎明期からの歴史的経緯や作品群から言える特技や得意不得意特徴など、1990年ぐらいから15年ほど知識が抜け落ちてるので、不完全ではありますが、じつはかなりもの申せるぐらい、昔はアニメ@@@でした(爆)。 アニメータや作画監督、美術、脚本家、スタジオ、録音スタジオ、いろいろな組み合わせでいろいろなことが語れるのも、アニメの面白いところなんですが・・・今でもエンドロールでメカデザイン宮武一貴とかの名前をみると、おおやはりアレはヌエメカかぁとか、出淵なんちゃらという名前をみてはうーんブチメカかぁとか・・・あああ○×△■さんが美術か、どうりであの背景は・・・なんて講釈ばかり垂れてた若い時代が懐かしい(笑)。 最近は、原画だけ日本で、まるまる海外スタジオへ投げなんてめずらしくないので、どうにもこうにも判らない世界になってしまったし、アニメが多すぎで乱立しているせいで、知らない名前の方が多くて、寂しい昨今。 閑話休題でした。
冬蝉は日本人だけで作り上げたのですねぇ。 そういう意味では高くついた作品になっているということで、森久保君指摘の354(?)カットが良かったと言ってるシーンが後半終わり際なので、全体で400カットぐらいかな。 1カットで動画平均30枚ぐらいとすると(動くシーンは多いし、動かないシーンは少ない)動画12000枚ぐらい。製作コスト概算してみます。 原画1枚2000円としてカット400枚で80万円、動画1枚225円で(25年前は1枚140円でした、ぺいぺいと名のある人では倍ぐらいギャラが違うので、スタジオで丼で請け負うはずなのと、相場がそれほど値上がりしてる筈がないので、150円から300円として平均して225円)合計400万円ぐらい、プラス構成特殊効果撮影経費などが200万円ぐらい、声優さんのギャラ全部で100万円として、音楽音響関係コスト(スタジオ代含む)200万、宣伝その他で1000万、合計して切りの良いところで切り上げると2000万円。通常のアニメ1本(30分もの)が確か2〜3000万ぐらいとのことなので、TVオンエアーアニメ作品1本並の経費です。DVD1本で半額儲かるとして限定版と通常版の中間値ので1本につき3000円の儲けとして、2000万円の製造経費をたたき出す為にはには、6667本売らないと赤字。うーん、TVアニメでもめったにない本数なので・・・通常の1000本売れて元を取る勘定にしたとすると、制作原価300万円は作れないと思うの、儲けDVD1本あたり5000円としても1000本しか売れないと採算ラインから原価500万円でアニメを作らないとならない、これは相当なコストダウンが必要で宣伝は一切できない計算になる、等身大ポスターは宣伝費じゃまかなえない、誰かが持ち出しになって居ないか心配。腐女子はどれぐらい居るのかなぁ・・・3000本ぐらい売れるのかしら・・・ またまた閑話休題でした。
作品の世界へ戻ります。 静と動と怒りの演技コントラストが激しいメインの3人でした。 感情を叩きつける三木さんの上手さはもう絶品で、彼が号泣していると、やっぱりこっちも心が持って行かれて、思わず泣きそうになりましたし、本気の思いが痛いぐらいでした。そして静の秋月の森川さん、上手くなったなぁと感心。役としては難しい方を担当していて、大変だったと思うし、ご本人の性格からしても、相当に感情的にいれこまないと、動きのある演技ででてしまって、弱り果てた秋月にはならない、だからこそ、かなり前から徹底的に役作りをしてきたのだと思います。素晴らしかったです。今にも消えそうだったろうそくが、一瞬ぱっと燃える瞬間、それが遺書を書き終えた直後の草加とのやりとり、ここは本当に心臓が締め付けられるぐらい、痛々しい感じで、ここが一番気持ちが動きます。そしてクライマックスへ向かうモノローグ。絶品でしたねぇ・・・二人の息遣いもまたリアルでしたし、森久保君、本当に演技者として成長したなと思いました、あざとさが抑えられて、怒りの演技になっていました。
特典のキャストトークでは、呆然自失としている森川さんと完全に脱力している三木さんが可哀想なぐらい、早く仕事から解放してあげたい雰囲気。森川さんも三木さんもしゃべりながら泣いちゃうのではないかと・・・ここまで役の余韻を残したままの森川さんを、映像でみるのは始めてじゃないかな。
模擬アフレコシーンは、テストの時の金魚鉢から撮影したものと、テスト前にカメラを入れて適当にそれっぽいシーンを先録りしたか、収録後に再現したのであろうと思いますが、それでも本番の雰囲気が僅かでも階間みえるような本番とほぼ同じ作りになっていて、短いながらも素敵なおまけでした。 森川さんの声があの体の何処からでてるのかわかんない、ライブパスコレでの朗読シーンでも思うのですが、どうしても、あの演技する声が、あの体から発せられてるのが不思議になるほどに、しゃべりのトーンとはぜんぜん別物のすばらしい演技の声(音)が出てくるので、何回観ても、演技している森川さんには見惚れます。
総合90点
web拍手沢山ありがとうございます。 釣れたお兄ちゃんの次ぎのえさは何時上げられるのか、わかんないです(謎)。
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