声優さんと映画とアニメと
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自分にとってのターニングポイントっていうのは何か、それはその時には気がつかないものだ。数年あるいは10年以上経って振り返ってみたときに、あああれがそうなのかって思うような、そういう物なんだと思う。
ゴルドランのDVD−BOXを手に入れました ワルターワルザックといえば、ブレードのDボウイ以降、暗い無口な役ばかりが回ってくることに悩んでいた森川さんが、この作品で弾けて吹っ切れたとコメントしていたのを読んだ記憶があったので、どうしても見てみたかった作品です。今観ているビーストウォーズメタルス(後1本DVDが残ってます)を見終わったら、つぎはコレに挑戦する予定。これで森川さんの演技のターニングポイントをじっくりと確認したい。
BOXの中の冊子に、監督の高松氏のコメントがあった。 悪役のワルターは最初極力スタンダードに作ったはずだったのだが、後半は結構めちゃくちゃなキャラになった。そしてキャストに関係するコメントで南央美さんがノリノリで演技をしてくださった等のコメントの最後に 「・・・ワルター役の森川智之さんもジェイデッカーでは正統派の二枚目だったのに、完全にギャグの人になってしまって。ワルターのキャラクターは、森川さんから影響を受けた部分も大きいと思います。」 と書かれていました。 監督さんから、こういうコメントをいただける役に巡り会えたという点で、これは運命だと思います。この、森川さんのターニングポイントとなったワルターという役、決して周囲にお膳立てされた上でのギャグキャラを単に一生懸命演じたのというのではぜんぜんないという事です。森川さんは、この時期じわじわと根暗無口の美形キャラ担当という固定されつつあった自分の役者としてのイメージを打破するべく、殻を一つ自力で突き破って、自力でワルターというキャラを開拓し物語りの中で立たせたのだという、非常に重要な監督さんの証言です。ものすごく興味深いです。
森川さんがこの役をターニングポイントしたわけです。 そう言えば、外画ドラマでのターニングポイントをご本人が声優グランプリのインタビューで言及しています。たどり着けばアラスカのネイティヴ・アメリカンの青年エド役、これもおかしな変な(愉快とも言います、笑)役でした(全部は見てませんが、かすかに記憶あり、森川さんだと知らずに見てました)とても面白い事に、ゴルドランの放送が1995年の2月から約1年間で、たどり着けばアラスカのWOWOWでの放送も1995年あたりから1996年まで、すなわちほとんど同時期なのです。まさに役者としての大きなターニングポイントの時期が1995年だったのだと思います。
森川さんのアニメでの名前の有る初めての役が1989年のダッシュ四駆郎の加藤隼、それ以前はその他大勢の一人であった彼が、ついに表舞台への小さいステップを登り出した最初の一歩。22才、デビューから約2年目?森川さんの場合勝田の生徒の2年目本科生のころからナレーションや教材などのアルバイト的なプロ仕事をはじめてる関係で、ご本人も正式なデビュー作を覚えていないとコメント、おそらくガヤや名無し役でちょろちょろいろいろな作品で声を出し始めたのは1988年21才頃からだと思います。(勝田で発声のお兄さんの仕事もしてたんですよね、笑)
そして3年後の25才1992年、ついにテッカマンブレードで主役を射止める。これが最初の大きなターニングポイントですね。実はこれは彼を悩ませるきっかけになるターニングポイントではあったのですが・・・ そう、ファンクラブができたのも1994年頃からですよね確か・・・おまえらを始めたのも1995年末、満天のお芝居をはじめたのが1994年末から・・・こういう事実を並べてみると、彼がいろいろな事を一斉に始めた時期が1994年末から1995年であるわけで、おそらく彼の内側に溜まったさまざまなものが大爆発して噴出し始めた時期なんだなぁと実感。
以後の森川さんのキャリアの軌跡だけを追えば、行け行けどんどんの仕事量と質。1995年に初期の悩みを吹っ切って役者の演技の幅を広げ、ギャグもできる役者としての分野を開拓したあと、仕事量と質の両方が(アニメと外画両方で)爆裂する本当の売れっ子になったのが1997年頃。森川さん30才、第2の開花年。
男性の声優さんの本格的な開花が30才過ぎてからと世間で言われる、その、まさに王道を歩いている人なんですねぇ。 ワルターとアラスカのエドで役の幅を広げた後、それでも森川さんはさらに悩み続けけていた事が、最近の雑誌インタビューで明らかになってます。特に吹き替えですね。役を立たせる演技だけではなく、役に溶け込む自然な演技の中で自分をどう表現してゆくのかを、以降の彼はずっと悩み続けていたみたいです。演技の奥行きと質の向上に関しては、今でもきっと彼の悩みは尽きないのではないかと思いますが・・・
ココまで書いたので、さらに・・・ 私が思うに、森川さんが次にさらにもう1つ階段を上がるのが、外画吹き替えでの1999年から2000年あたりではないかと・・・ 激戦のオーデションを戦い抜いて勝ち取った役である2本の作品。 その1本がスターウォーズEP1(1999年)。1999年から以降、外画の出演作品数も激増で、このあたりからアニメと同時に外画の人にもなった転換の時期です。そして、キーとなる2本目がアイズワイドシャットではないかと・・・本人が今だに印象深い作品としてさまざまなインタビューでその名前を挙げている事実が示すように、この外画のお仕事激増に時期にあって、最も手間をかけた作品であり(収録に日数がかかったという意味でも)、しかも演じた後に、充実した満足感を得た作品だったのだろう予想できる作品です。
このターニングポイントの2本が、今に繋がるユアンとトムの作品だったのですから、運命ですね。 最近では外画の吹き替えでフィックスの役を得ることは本当に難しいみたいです。吹き替えを担当される沢山の声優さんの中でも、森川さんに近い年齢の先輩の中で、平田さんや宮本さん大塚さんなど数えるほどの方々しかフィックスに近い役者さんを持っていませんし、彼より後輩では平川さんと浪川君がかろうじてフィックスを持ていると言えるのに一番近いポジションに居ますが、それだけです。森川さんを含め、彼に近い年代で、彼に近い位置まで外画吹き替えで上り詰めた声優さんはほんの数人という状況で、その中の一人というのは、若手〜中堅声優としてはこれ以上ないポジションに居るのです。
森川さんの弱点 森川さんの出演作品のかなりをここ2年で集中してみました(聴きました)。かなりの数のアニメ、150本以上の外画、そしてもの凄い数のドラマCD。 平凡なようで、実は彼に近い声を出す人がそれほど居ないという点ですごく良いポジションに居ること、唯一無二の圧倒的なアイコンのような個性ではなが、実はこれほどの美声というのは希有な存在感を燦然と放っているのも事実。それゆえに、年齢を重ね、演技力に深みと厚みが増すに従って、どんどん美味しい良い役が回ってくるようになりました。ドラマCDを聴けば歴然、彼の役に溶け込む自然な感情表現は一級以上、特急クラスです。 あと、今後彼がさらにステップアップして押しも押されぬ超大御所への道を歩むに精進し伸ばすべき部分があるとしたら、それは感情を入れられないセリフでの臨場感だと思います。その点では先輩諸氏に一日の長を感じる場面がいくつかありました。これだけは彼の弱点と言えるかもしれません。長い説明セリフで、どうしてもこれは台本を読んでるなって思える時があるのです。 この、彼唯一の弱点である説明ぜりふを、いかに流暢に喋りきるか、これは仕事量を少し減らしてでももう少しリハーサルに時間をかけないと超えられない壁じゃないかと思います。というのも、確かに売れっ子の先輩達でも、沢山の方に同じ症状を見かけるので、決して彼だけの弱点というわけではないのです。
今後の森川さんへの注文 せっかく感情表現の魔術師達の仲間になる入り口に足を踏み入れた今、あとしばらく数年は、あまりナレーションの仕事を沢山して欲しくないと思うのです。 というのも、ナレーションはかっこいいし収入にも美味しい、いいお仕事なんですが、50才になっても60才になっても出来る仕事なわけで、数多くの大先輩達が沢山やられていますが、あまり若い早い時期にナレーションばかりやると、演技とはまったく異なるテクニックを必要とするナレーション仕事のせいで、感情表現のマジックに影響が出てしまっては困るなぁと、門外漢ですが勝手に思ってしまうのです。 かっこいいナレーションにあこがれる声優さんとしての気持ちが判るんですが、役者さんとナレーターではやっぱり役者さんとしてのキャリアを優先させている今の仕事の選び方で正解じゃないかと思うのです。 本当の意味での役者として伸び盛りで充実期に入った今、彼が数多く吹き替えを担当するハリウッドスター達も充実の黄金期がすぐそこまで来て居ます。 その彼らを吹き替える森川さんにも、どんどん次々といい吹き替え作品が廻ってくるわけですから、そんな充実の黄金期となる40歳代。 今後により一層の吹き替え大開花が来る予感がします。そう思うと、今以上に一心不乱に前に突き進んでつっ走ってほしいと願って止みません。(でも弱点は克服してね)
なんとなく、今、再び彼はターニングポイントに居る気がして仕方がないのですが、今後彼がどういう方向へ向かって行くのか、本当に楽しみです。
2HeartsのGAMBAREliveを聴き(観)ながら・・・
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