胡桃の感想記
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2005年02月05日(土) ◇映画「オペラ座の怪人」

まず何よりラウル(パトリック・ウィルソン)が格好良かった。舞台版(劇団四季)だと、どうもラストのファントム(怪人)に首を絞められて、クリスティーヌの足を引っ張ったへなちょこお坊ちゃまのイメージが強かったが、映画だと墓地ではファントムに剣で勝っていたし、オペラ座の地下室では水攻めされても見事生還してきたし・・・ホント格好良いヒーローそのもののラウルだった。さすが、最初にキャスティングされただけあるわ〜。

実は、物語がへなちょこラウルの回想と知って以来、人物たちにはあまり期待していなかった。ビジュアルも歌唱力もいいのは分かっていたけど(それはまぁ当然の事ですしね)、キャラクター的な魅力を感じられないような気がしていた。

でも、あの荘厳で素敵な音楽と、シャンデリアを始めとする豪華なオペラ座をスクリーンで見られれば、それで満足だったのだ。舞台の感動再び、と言うか思い出したいなぁと思っていた。

劇団四季の京都公演を2回観て、2回目はファントムに感情移入しすぎてクリスティーヌを“分からず屋の小娘め〜”で、ラウルは“若造が邪魔したな〜”とヒネクレ感情だったが、今回は素直な気持ちで楽しめた。

マダム・ジリー(ミランダ・リチャードソン)の語る、見世物として虐待されていた子どもの頃のファントムが逃亡したとき、当時バレエダンサーの少女だった彼女がオペラ座の地下室に匿ったというエピソードが加えられたので、舞台では分かりにくかった(こちらの想像力をかきたてられたが)、何故そんなにマダム・ジリーが詳しいのかが分かった。

メグ・ジリー(ジェニファー・エリソン)はブロンドでイメージぴったりの可愛らしい子。関係ないけど、ベビーフェイス(まだ10代だからね)の割にバスとが大きくて、そういう系のファンたちにも凄く好まれそう(笑)。ジェニファーは舞台「シカゴ」でロキシー役を演じているとだけあって、歌唱力抜群だったので、もっと歌が聴きたかったな。

四季舞台版ラストのメグ・ジリーがファントムの仮面を手に取って振り返るシーンが大好きだったので、今回、ラストではないけど、そのシーンがあって嬉しかった。

本当に舞台がそのまま映画になっているのだ。
これには賛否両論だろうけど、私は嬉しい。

驚いたのは1970年の老けラウルがパトリック本人の5時間メイク顔だったこと。・・・こだわっているなぁ。ラストでラウルはクリスティーヌの墓前に冒頭のオークションで落札したシンバルの猿のおもちゃ(これはファントムが子どもの頃から唯一大切にしていたもの)を置くと、隣には黒いリボンのついた深紅のバラが。ファントムも生きていて見守っていたんだなぁ・・・と涙を溢れながら観ていたが、後でパンフレットを見ると、どうやら違うらしい。うーん、どういう意味なんでしょ?

ちなみに原作だと、クリスティーヌから贈られた指輪をつけたまま焼死・・・知らなかったよぅ。(そしてラウルは舞台版すら素敵に思えるほど情けな〜いお坊ちゃま/苦笑)

映画で最も優れていたと感じたのは、役者さんたちの表情。ちょっとした仕草や目の動きも分かるので、それぞれの感情が伝わってくるような気がする。だから、舞台版では共感出来なかったクリスティーヌやラウルも魅力的で好きになれたのだ。

ただファントムは、舞台版よりストーカー度が高くて、屋上でラウルとクリスティーヌが愛を確かめあっている時も、ずっと覗いているのが怖かった。しかも、容姿にコンプレックスという設定だけど、仮面外してもそんなに酷くない・・・私だって悲鳴あげるほど酷い顔は見たくないけど。あと、声が高くて慣れるまでは違和感だった。そんなこんなで感情移入できなかった、残念ながら。でもラスト近くで、クリスティーヌに別れをつげてシンバル猿の前でマスカレードを口ずさみ(聴いていただけだったかな?)寂しそうに、でも幸せそうに微笑むシーンをみて、さすがに涙が溢れた。だからまた観たら、ファントム派かもしれない(笑)。


胡桃 |MAIL

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