| 2012年03月07日(水) |
メジャーに生きる人間のマイナー好き |
ananのインタビューをご紹介してたら、思い出しました。
昨年末のノーシングルライブのパンフ、写真も文面も素晴らしいあのパンフで、
まだご紹介したいところがあったのでした。
ましゃご自身は、人気も売り上げもトップを目指すのが当たり前のメジャーな世界におられますが、
自分が視聴・鑑賞したくなるものは、むしろマイナーな作品の方が多いのだそう。
福「自分もこうやってメジャーでずっとやっていながら、メジャーなものは敢えて見なくてもいいかな、
聴かなくてもいいかなって思っちゃうんです。例えばハリポタやパイレーツ・オブ・カリビアンとか一度も
観たことがない。面白いと言われるけど、じゃあなんでそれを観ようとしないのかと言うと、
たくさんの人が観ているから僕は観なくてもいいかな、というだけなんですよね。
もうたくさんの人が分析しているだろうし、たくさんの人が影響を受けているだろうし、たくさんの
人が満足しているだろうから、わざわざ僕が観なくてもいいかな、みたいな(笑)。」
ーーイメージ的には福山さんってそういうのをちゃんとチェックして、優れたエンターテインメントの
一例として分析してそうな気がしますけど。
福「僕もね、そういうタイプかなと自分で思っていたんですけど・・・作り手としてはメジャー志向で、
受けてとしては超マイナー志向なんですよ。制作者としては、もう絶対売れなきゃダメだと思っている。
でも聴き手としては売れてないもののほうが好きなんですよ。
(マイナーだけどすごくいい映画とかの)ヒットしない一番の要因は『知ってる人が出ていない』
ということでしょう(笑)。誰もが知っているメジャーな人が出ていないということは、
当然制作費も低いし宣伝費も低い、スター不在なわけですよ。でも逆にスターがそこに出ると
何が起こるかというと、良かれ悪しかれ内容が変わってしまう。
もっとスター寄りのものにならざるを得ないですよね。
それで、こちらを立てたら今度はこちらも立てて、というようなことをやっていくうちに、
プロジェクト全体が混乱して、結局言いたいことがよくわからないものになってしまうということが
往々にしてある。だから無名な役者や監督の作品のほうが作り手の軸がブレていないし、
僕はそういったもののほうが好きなんですよね。
でも、マイナー志向でマイナー表現だけをやっている人は好きじゃないんですよ(笑)。
自分はマイナーかもしれないけれど自分のやっていることはいいものだと思っていて、
しかも実際にその作品は良くて、なぜ売れないのかわからない、売れたいと思ってもがいている、
というものに惹かれるんです。
逆に、売れなくてもいいやと思ってやっているマイナー志向の人は僕はまったく好きじゃないんです。
『俺は売れなくていいんだ』と本当に胸を張って言ってもいい人というのは、全部自腹でやっている
人ですよ。制作から宣伝からスタジオ代から弁当代から全部自分で身銭を切って、赤が出なければいい、
採算がとれていればいい、だから俺は自分の好きなことをやっている、という人はそれでいいと思う
んです。それ以外の人は『売れなくてもいい』なんて絶対言っちゃダメですよね。だってそのために
回りの人がお金を出しているんですから。」
そうだね。
自分は受け手側だけの立場ですが、いろいろと同感でございます。
超メジャーな世界にいながら「売れなくてもいい」と言ってた人いたなぁ、と思い出したり。
身銭なんて全く切ってなさそうだけど、事務所でかくて他に稼ぎ手もいっぱいいて、
自分は浪費するだけでも自分の収入が減るわけでもないからそんなこと言えるのだろうな、って。
ま、そんな発言は結局世間知らずのカッコつけだったということも、
「お金を出してる回りの人」が同意してないことも、売り方を見れば一目瞭然ですが。
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