| 2007年07月11日(水) |
7月11日付 本日のオトコマエ |
岩波少年文庫の「西遊記」が面白くてごきげんです。
玄奘三蔵がほんっとに小心者で、妖怪に会うたびに青くなってぶるぶる震えているだけなのだが、
それにひきかえ孫悟空の強いこと強いこと。
すさまじい妖術使いで武術にも優れ、ありとあらゆる神さまたちに顔が利くので、
どんな困難にぶち当たっても、どこからか力を借りてきて必ず活路を見出すし、
「わたしの師匠は小心者で」とか言いながらも、つねに限りなく尊敬しているし。
そもそも、三蔵が次から次へと妖怪に襲われ続けるのも道が長く険しいのも、
神さまたちが「天竺へお経を取りに行くまでの道のりで艱難辛苦に会わせる」
と決めたからで、そのことを三蔵も弟子達も納得して旅に臨んでいるのですよ。
まさしく修行の旅。
修行途中なのだから出来上がった人であるはずはなくて、三蔵は小心だったり八戒はアホだったり
悟空は乱暴者だったりするのだね。で、河童さんはひとりだけ妙にクールです。
ちなみに原作だと悟空は小柄で貧相ということになっているので
ニホンザルやチンパンジー系だと思うのですが、
ガタイのいい慎吾ちゃんだとゴリラ系な感じですね。(余計なお世話)
慎吾ちゃんの悟空がやっぱり大好きだなー。
というわけで、映画「西遊記」の公開間近なこともありますので、
本日のオトコマエは香取慎吾氏。
慎吾ちゃんのインタビューもあちらこちらにいっぱい載っているようですが、
わたしが読んだのは「婦人公論」と「an an」。
「an an」では、「新撰組」の頃に要求された演技のハードルが高くて
精神的にものすごく追い込まれ、どうしても仕事場に行けなくなってしまい、
公園でぼんやりしていたところ・・・というエピソードがとても興味深かったです。
悟空じゃないけど、大変なときには必ずどこからか手が差し伸べられて活路が開かれる、
そういう人なのかもしれませんね。
それを「自分は人との出会いに本当に恵まれている」、
「周りの人が自分を支えてくれている」(「婦人公論」)と、ご本人がちゃんと自覚して
おられるから、これだけの超人気者でも天狗にならないでいられるのだね。
「婦人公論」でも、慎吾ちゃんの前向きな人柄がよくわかるお言葉がいっぱいあったのだが、
一箇所だけ抜粋。
「スタッフが『今日の撮影はかなり大変そうだけど大丈夫?』と気を使って言ってくれたり
するのだけど、そういう時僕は、どの程度の大変さかわからなくても、とりあえず
『全然大丈夫です』と答えます。だって、しんどいかしんどくないか、やってみなくちゃわからないし。
それに、今日どんなにつらい仕事をしたって、明日になれば、また別の現場で仕事していて
普通に昼飯食ってるに決まってますから。(笑)」
主役や座長が発する何気ない一言は、良くも悪くも大変な影響力があるのはわかりきったことで。
客の立場でしか聞いたことはありませんが、それでも見事に一喜一憂してしまうのだから、
スタッフや共演者にとってはどれほどの重さだろうと。
主役がつねに一番大変で(そうじゃなきゃ主役じゃないだろうし)、
「大丈夫」って言ったって全然大丈夫じゃないだろう! ってことも日常茶飯事だろうけど、
そこをあえて「全然大丈夫」と言い、そういう態度でいるということは、
その現場全体にきっと力強い空気が満ちるに違いないと思うのです。
他にも色々、とてもオトコマエなことをいっぱいおっしゃってました。
そしてイイ感じに30歳。本当に良い歳の重ね方をしておられる。
でもそこで落ち着かずに、カッコイイ大先輩たち(63歳の田村正和氏とか)を見ては
「自分はなんて青臭くて小さいものかと実感」し、
「先輩たちがこんなにカッコいいんだから、自分もまだまだいけるぜと思えた」
とは頼もしい。
なんか「西遊記」観たらすっごく元気になれそうな気がしてきた。(見事なプロモ効果だ)
「観る人が喜んでくれるものを、と、みんなで頑張って作ったら、自分たちが
一番喜んでしまいました。(笑)」(プレミア試写会での慎吾ちゃんのお言葉。)
理想的なお仕事の形っすね。楽しみだ〜♪
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