書泉シランデの日記

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ショルツ×ベルリン室内管弦楽団
2005年10月23日(日)

モーツァルトのヴァイオリン・コンチェルト全曲演奏である。
買うときは、お値打ち感があって、まあ買っておこうか、だが、行くときになると、「え〜っ、5曲いっぺんかいな〜」となんだか気が重い。やりかけの仕事もあるし、せっかくの日曜日にあたふた動き回りたくない。けど、パーにするのはもったいない。

青空だけが味方だぜ、なんていうわけのわからん心境で、出かけることにした。現地でお仲間のおばちゃん連に会う。現地で会うだけで、コンサートホール前後にお茶も飲まないし、おしゃべりも休憩時間と帰り道だけというのが暗黙の了解。

さて、演奏はというと、至極あっさりしていてさほどの疵もないが、お見事、というほどの技もない。だから、5曲聴くのに我慢は無用だった。いらいらするようなこともなく、淡々と進んでいく。カデンツァは若干こだわりのあるものだったと思ったが、逆にそれが浮いた感じを与えた楽章もある。

曲が進むにつれ、楽団員が目に見えてリラックスしてきて、音がのびやかになった。大変お行儀のいい小編成のオケである。ただし若干保守的か。東ドイツ系にしては、音が明るくて軽やか。どのパートもきちんときれいに演奏していた。ただしきちんときれいに、ゆえの不足もあるわけで、それはまた別のオケに求めればいいのかもしれない。

「コンバスのおじさん、素敵だね」と80歳近いお仲間のおばさんにいわれた。御意!しかも弓の毛が黒である。かっこい〜。普通は白馬の毛がいい、なんていうのにね。そういえば『黒馬物語』なんてのがあった。あのおじさんに黒い毛の理由を聞いてみたかった。

ショルツさんのガダニーニは音が硬くて、私としては別の楽器をお願いしたい。時々、あれ?と思うアタックになるのは弓のせい?

ショルツさんはそこそこ美形である。ドイツ女性にしては小柄。東ドイツ流英才教育の申し子にしては、柔らかさがあり、技巧的なヴィルチュオーゾでもないところに好感が持てる。ただ、ムターの才気とも無縁なところが先々心配。きていたドレスが素敵だった。にきび一つない美しいお背中であった。



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