書泉シランデの日記

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『ヴァイオリンの巨匠たち』
2005年08月05日(金)

暑い〜〜、と日中は死んでいた。
ブラインドの隙間から怯えたような目で外を覗きながら、ひたすら日が沈むのを待っていた一日。やろうと思った仕事は1割程度しか片付かず、机に向かえば眠気、PCに向かえば単調なゲームで時間を潰すのみ・・・非生産的な一日のサンプルに供出したいくらい。

疲れたんですよ、疲れたの、と自分に言い訳である。

ぱらぱらとエッゲブレヒト『ヴァイオリンの巨匠たち』(アルファベータ)なんぞをめくりながら、う〜、頭痛いよ〜。

この本、ヴァイオリン好きには面白い本です。ジャーナリスティックな話題に走らないで、かつ、空虚な表現をちりばめないで、ヴァイオリニストをヨアヒムやイザイあたりから順に取り上げて論じていくのはなかなか容易なわざではない。残念ながら、本邦のものとは重みが違うんだよね・・・国産品は啓蒙を主としているのかもしれませんが。

エッゲブレヒトの活動なんて何もしらないんだけれど、日本の音楽評論家って何でもやる。つまり、演奏会のプログラムやチラシのヨイショ記事も書けば、CDのライナーノートにどうでもいいようなことを書くし、雑誌やペーパーバックで「お薦めCD」みたいなものも書く。頼まれれば何でもというスタンスでは、評論は出来ないよ。書いたとしても、信頼性が限りなく疑わしい・・・で、もちろん彼らはコンサート評をはじめとして、評論的なものを書いている。問題あると思うなあ。少なくとも、招待券で行って正直なことが書けるのだろうか?大体日本語自体、評論を得意とする言語かどうか―音楽に対するいい耳とかなりの日本語のセンスの持ち主でないと、いい評論は難しかろう。

エッゲブレヒトの本、タイトルを含め、訳はあんまり気にいらない。巨匠といっても、実際にはヒラリー・ハーンまで俎上に上っているのだから。(原題はGrosse Geiger)でも内容は結構うなずける上、もう一度あの人のCDを聞いてみようと思ったりもして、刺激的である。



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