フェニーチェ歌劇場引越し公演『真珠とり』 中島康晴くん(テノール)がナディールを歌うので、それが聞きたくて、大枚はたいて昨年九月に切符を入手しておりました。 オケがへたくそで、気持ち悪いところがちょいちょいあり、思わず投資金額を反芻したりして・・・びわ湖ホールで聞いた誰かさんの「フェニーチェは古いかもしれないけど、イタリアの普通の歌劇場」という言葉を思い出しました。イタリアの普通がどんなものか、私にはてんでわかりませんが、スカラ座には程遠いです。チケットの価格だけは似たようなもんですが。 今回の公演では中島くんに芳しい評判を聞かないので、あまり期待はしていませんでした。でも、幸い、100点とは言わないまでも、なかなかの力演で広い音域をカバーし、軽い声から重い声までがんばってくれて、満足できました。まだ若いし、乞うご期待。首がもうちょっと長いといいんだけれど、ま、これは我が同胞の共通の悩みかも。 『真珠とり』ってバリトンの演技力が要だなあ、と思いました。劇中、ちったぁ葛藤らしい葛藤があるのはバリトンだけなのです。 ヒロインのレイラなんて、神に仕えるため処女で顔もヴェールに隠したままっていうのに、あっさり彼を恋しがっちゃうし、彼が登場すれば、一応最初だけ「いけません」みたいなことをいうけれど、おためごかしもいいとこ。『ノルマ』のノルマと比較すると、こっちはまるで結婚式場のアルバイト巫女。台本が拙い のです。で、それを一人でカバーしないといけないのが、バリトン。それなのに、今日のバリトン氏は表現力に難あり、いい声だけど声量不足、それにオケがバリバリとかぶさって、あ〜あ。
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