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『オペラと歌舞伎』
2005年05月01日(日)

『オペラと歌舞伎』 永竹由幸

オペラファンは著者の名前をオペラのプログラムや字幕の翻訳で目にしたことがあるはずです。オペラと歌舞伎をこよなく愛する著者がその類似点をとりあげ、熱い思いを語ります。愛ばかり先行して学識を欠く、という人ではありませんから、オペラと歌舞伎を巧みに引き合わせつつ、大衆が文化を育てる有様を語ってくれます。洋の東西でこんなふうに対応しているのだということを確認すれば、日本人オペラファンとして自信を持って劇場に出かけられます。

牽強付会じゃないの、と思うところもなくはありませんが、そこはそれ、この本はオペラや歌舞伎を比較文化論的に研究するために読むものではなく、歌舞伎も面白い、オペラも好き、という人が「なんでだろ?」という疑問を晴らすために読むものです。文化を育てる大衆であること、って素敵じゃありません?そして、ヲタともいうべき永竹大人と熱い思いを共有いたしましょう。

片方しか見たことがないや、という人は、是非この次は、見たことのないほうへいき、その類似を体験してください。私自身は『フィガロの結婚』を見たとき、「これってそのまんま歌舞伎じゃない!」と驚いたものです。

この本は、オペラ(歌舞伎)を持っていた国=イタリア、ドイツ・日本はその文化的卓越のために、鬼畜米英に叩かれた、というとてつもない始まりかたをするのです。目くじら立てないで、演出を受け入れて楽しく読みましょうね。

初版が出たのは10年以上前ですが、久しく品切れ状態でした。昨年秋に3刷が出て、めでたし、めでたし。・・・でもさあ、岐阜県原市各務村はないと思うよ(p.33)。

(丸善ライブラリー)




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