Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 モンテイロ、スーパーアグリに八つ当たり
2006年05月17日(水)

 今日も昨日に引き続きスーパーアグリの話題です。デビュー以来常にテールエンダーのスーパーアグリですが、やはり日本からの新チームであり、また何かと話題も豊富なので、メディアも注目しているんでしょうかねえ。

 スーパーアグリの当面のライバルと言えば、昨年までジョーダンとして旧ミナルディ(現トロロッソ)と最下位争いを演じていたミッドランドですが、第4戦サンマリノグランプリのオープニングラップで井出有治に突っ込まれ、あわや大惨事というアクシデントに見舞われたミッドランドのクリスチャン・アルバースは、そのレース後当然のことながら井出に対して怒りを露わにし、さらに直接当事者ではない佐藤琢磨までも批判していました。彼はその後一転して井出を擁護するコメントをしており、井出は結果的にこの一件でレギュラーシートを失うこととなりました。

 しかし、今度は同じミッドランドのティアゴ・モンテイロが、先週末に行われた第6戦スペイングランプリに関してスーパーアグリを批判しました。彼曰く「スーパーアグリはスタートでリスクを取り過ぎる。でもそんなことは意味がないことだ。なぜならレースはとても長いんだからね。モンターニュは無理に突っ込んできて、それで僕のリヤタイヤはパンクさせられたんだ。確かに彼は井出よりずっと経験あるドライバーだけれど、レースは最初のラップで勝利が決まるものではないということを知るべきだ」と、なぜか今回もモンターニュだけでなく、琢磨を含めた“スーパーアグリ”として非難していました。

 第4戦サンマリノグランプリに関しては、完全に井出に否があるので、アルバースの怒りは正当なものであると言えるでしょう。しかし、今回のモンテイロの言い分はちょっとばかり的を射ていないですね。

 状況を説明しますと、スペイングランプリのスターティンググリッドは、レッドブルのクルサードが最後尾スタートで、その前にスーパーアグリのモンターニュと佐藤琢磨さらにその前にミッドランドのアルバースとモンテイロという順でした。ところが、スタートでモンターニュが絶好のスタートを見せ、前を塞がれて行き場を失った同僚の琢磨、さらにミッドランドの2台も抜き去って見事なジャンプアップを果たしました。

 モンテイロの言い分は、単なる負け惜しみですよ。

 スーパーアグリのスタートダッシュがいいのかミッドランドのスタートが悪いのか、あるいはスーパーアグリのスタートが上手くてミッドランドのスタートが下手なのかはわかりませんが、いずれにせよ、コース上でオーバーテイクするのが非常に困難になってしまっている現代のF1で、しかもマシンの戦闘力で明らかに劣るマシンとしては、スタートで無理して前に出ようとするのは至極当たり前のことです。サンマリノでの井出有治はそのやり方に問題がありましたが、モンテイロの「スタートで無理をして前に出ようとするのは無意味だ」という発言は、本当にレーサーとしての発言なのかと耳を疑ってしまいます。モンテイロにとっては少なくともスーパーアグリに対しては、一度抜かれてもその後抜き返すのはマシン性能からして容易なことでしょうが、スーパーアグリにとっては前に出るチャンスはスタートぐらいしかないわけですからねえ。

 そう言う意味で、スーパーアグリのようにレーススピードが全チームで最も遅く、スタートで前に出ても最終的に抜き返されてまた最後尾に戻ってしまうとしても、レースをしている以上スタートで前に出ると言うことは大きな意味があるのです。少なくともスーパーアグリは、スタートだけはミッドランドに勝っているわけですからね。

 逆を言えば、グリッドが前だったにもかかわらずスタートダッシュで毎戦琢磨に抜かれ、スペインではモンターニュにごぼう抜きにされたミッドランドは、そのことをスーパーアグリのせいにする前に、自分たちのスタートを見直すべきではないでしょうか。

 スタートが下手だから並ばれる。ただそれだけのことなんですよ。

 ちなみに、ミッドランドはこの件に関してスチュワードに抗議を提出したそうですが、今回は却下されたそうです。当然ですね。単なる八つ当たりですから……。



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