Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「ソラリス」(リメイク版)を観る
2003年12月21日(日)

 今日はかねてから観たいと思っていた「ソラリス」という映画のビデオを借りてきて鑑賞しました。「ソラリス」とは1972年にアンドレイ・タルコフスキー監督が映画化した、スタニスラフ・レムのSF小説をスティーヴン・ソダーバーグ監督が再映画化したもので、友人の科学者ジバリアンから救援要請を受けた心理学者のケルヴィンは、惑星ソラリスの宇宙ステーションへ向かいます。そこで彼はジバリアンの死体を発見、さらに他の科学者の奇妙な言動、不可解な音、死んだはずの妻との再会により、精神的に追いつめられていきます。

 スティーヴン・ソダーバーグ監督は、ケルヴィンの妻への愛に主眼を置き、そこからドラマの軸がぶれることはありません。ふたりの出会いから、幸福な日々、妻の死をフラッシュバックさせ、ひたすらケルヴィンの心の苦悩に迫っていきます。その分、映画自体の時間の流れは、退屈しかねないほどゆったり。そこには、観客を置いてきぼりにするほどハイスピードになった昨今の映画への批判も込められているかのようです。映画の流れに身を委ねることができれば、涙を流して熱演するジョージ・クルーニーの姿に共感でき、鮮やかな光を放つソラリスの外観や、宇宙ステーション内部の精緻なデザインをじっくり観察できます。そしてラストでは、映画の余韻に浸るとはこういうものかと再認識させてくれます。「ターミネーター」や「エイリアン2」、「タイタニック」などで知られるジェイムス・キャメロンが制作で携わっているので、宇宙ステーションなどのSF分野の技術はお手の物、至るところでキャメロン色を臭わせるものがあります。

 ただ、この映画は映画館で観たかったのですが観られず、仕方なく今頃ビデオで観たわけですが、正直映画館で観なくて正解だったような気がします。もちろん良い映画なのですが、先に描いたように非常にゆったりとした時間感覚で話が進んでいくので、おそらく劇場で爆睡してしまった人は多かったと思われます。いつの間にか消えるように公開期間が終わってしまったのも頷けるような気がします。

 この映画は、雨の日の休みの午後をゆったりと過ごしたい方にお薦めですね。音楽も全体に渡って静かでやかましい部分がなく、BGVとしても最適だと思います。


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