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さっきまで私の中を 弄っていた右手が、今は 私の髪をすいてくれている。 内容を思い出せない ピロートークをしたあと、 施術師はシャワーを浴びに ベッドを出た。 私はガウンを着なおし、 そのままごろごろする。 洋服に着替えるさまを ずっと見ながら、私は次の 予定のことを考えていた。 前回ここに来たときは、 先に出ていく彼を見送り とても切ない気持ちに なったものだが、今日は 違っていた。 次にやることが決まって いれば、寂しさはない。 何もないから、今目の前に あるものが無くなるのが 寂しかっただけだったのだ。 なんとも現金なもんだ、 と自分を思いながら、 施術師からのハグを受け、 またね、と言って ドアを閉めた。 その後私も身支度をし、 コーヒーを入れ直して チェックアウトした。 予定の時間を気にしながら 足早に山手線に乗る。 気持ちはなかなか晴れやか だった。それだけしか ないとそれに執着する。 だったら意識を分散できる よう、色々なことを するべきなんだ、と思った。 好きなものを増やそうと。 |