| 2006年05月31日(水) |
『サンキュー!』 川嶋あい 2006.5.24 |
川嶋あいちゃんのニューアルバム。 去年のアルバムはI WiSH解散直後のアルバムで、ずいぶん力が入っているなあと思った。 今回のアルバムは前回より落ち着いていろいろ考えながら作った感じがした。 もともと川嶋さんは、とにかく完成度の高い楽曲を作ろうとしていると思う。 どんな曲も絶対に力を抜いたりしない。 リスナーに向かって全力投球してくる。
今回のアルバムにはシングルの曲がたくさん収められているので、 もともと知っている曲が多かった。 正直なところ「見えない翼」は元気な歌でいいなとは思ったものの、 それほど好きな曲ではなかった。 このアルバムの1曲目として聞いたときもあまりピンとこなかった。 2曲目の「Dear」は大事な人に送るメッセージの歌で、もう何度も何度も聞いていた。 3曲目の「Happy Birthday!!」、4曲目「drive!」、 5曲目「大三角形」もロックに近いようなポップで弾む曲だ。 そして6曲目は「明日への扉」の原曲である「旅立ちの日に…」。 これは曲は同じだけど、歌詞が違う。 私は「旅立ちの日に…」の方がいいなと思った。 が、しかし「明日への扉」を聞きなおしてみると、 やっぱり「明日への扉」もものすごくいい。 これは同じだけど違うんだとわかった。 「旅立ちの日に…」はあくまでも学校を卒業して旅立つ学生の歌だ。 そして「明日への扉」は学生に限らず、 すべての扉を開く人へ捧げた歌だと思った。 「旅立ちの日に…」を聞いたときは、 「やっぱり原曲の方がいい。なんて完成された原曲なんだろう」と思った。 でも、私は学生ではない。やっぱり「明日への扉」も心に響くのだ。 どちらもいい。私にとってはどちらも大切な歌だ。 7曲目の「季節の旅人」と8曲目の「雪塵(ホワイトダスト)」は なんだか古い歌を聞いているかのようにしっとりと落ち着きを感じる。 季節の流れをじっと見詰めているかのような歌だ。 9曲目の「Love」は本当に素直な恋の始まりの歌だ。 10曲目の「優しい雨」。 今回のアルバムで私はこの曲が一番好きだ。 繰り返すあやまちや涙 繰り返せない自分の命 川のようにみんな流れ 大切なものが残っている ああ忘れないでいて 強い人はいない
このフレーズが大好き。 川嶋さんのように強い人が「強い人はいない」なんて歌うんだなあとぼんやり思った。 なんだかどこまでも共感していく私がいる。
11曲目の「smile and smile」は誰に向かって歌っているのかな? 友達かそれともリスナーやファンへの歌かもしれない。 君は今何してますか?自分に自信持っていますか? 前に進んでいますか?元気ですか? 普通の言葉で歌っているのに、なぜだか普通の歌には聴こえない。 なんでこんな丁寧に書いた作文のような文章が 心地よい歌に変わるのか不思議になる。
12曲目の「…ありがとう…」は言えなかった「ありがとう」を今歌うという歌だ。 誰にでもあるだろう。言えなかった「ありがとう」は。
このアルバムは最初聞いたときは、前半がいまいち好きになれなかった。 後半はすばらしい楽曲続きで、後半のほうがいいなあと思っていたけど、 そんなことはないと気づいた。 前半のポップな曲と後半の落ち着いた曲とが混ざり合って、また違う色を作り出している。 私は前半がオレンジで後半がブルーだと思ったが、 通して聴いているとグリーンに思えたりする。 どの曲もとにかく素直に見たまま思ったままを詩にし、曲も自然なメロディーで歌唱も無理しない。 そして、これからもっともっといい曲を書いて歌ってくれることを予感させてくれるアルバムで、ライブでこれらの歌を聴くのがすごく楽しみだ。
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