| 2005年10月12日(水) |
「彩愛」 The LOVE 2005.9 |
The LOVEは少し前にタイトルにひかれてベストアルバムを買ってしまった。 中身の濃いそして日常的な誰もが感じるような愛情を色んな角度から歌っていて、最近では珍しいバンドだと思った。 キャリアももう13年ということで、今まで何で知らなかったのだろうと思ったと同時に今、このバンドにめぐり合えてよかったと思った。
この「彩愛」は彼らの最新アルバムで、本当に彩豊かなそれでいて普遍的な愛情が描かれている。 家族の愛、友達の愛、恋人の愛、変わっていく愛、変わるくらいなら死んだ方がましだという盲目的な愛、命がけの愛と様々だ。
まず、目に付いたのは奥田美和子さんが歌ってヒットした「雨と夢のあとに」をThe LOVEが歌っている事だ。 この歌は柳美里さん作詞、The LOVEの平さんが作曲ということで、セルフカバーということになるのだろう。 奥田美和子さんが歌ったこの歌は圧倒的な説得力があり、聴いていると胸が苦しくなった。 奥田さんの歌は胸が苦しくなって、限界まで悲しくなるような気がした。 しかし、同じ歌をThe LOVEのヴァージョンで聴くと声にあたたかみがあるため、もう少し穏やかな気持ちで聴けた。 奥田さんが歌うと涙がにじんでしまうけれど、The LOVEの唱は一緒に口ずさみたくなる感じだ。 どちらにしても胸は痛い。素晴らしい名曲だ。
「コロッケ買ってくね」ではありふれた日常を、もっと信じてみようというあたたかさにあふれ、「耳を澄まして」ではどうしようもなく人にキズついて、しかしどうしようもなく人に救われているとこれも誰もが思うことを解り易く歌っている。
「存在理由」は恨み節の様で怖い。 しかし、音がアレンジが軽くていい。スウィングしている感じだ。 終わりはどんどんスウィングして、詞は重いのにどんどん軽くなっていってフェイド・アウトしていくという面白さだ。
「禁断の林檎」では、誰かに盗られるくらいなら、 命なんていらないとこれもまた怖い。
「未完の自画像」は美大の学生の歌でこれはとても新鮮に感じられた。 あの頃は何を描こうとしていたのだろうか 卒業証書にどんな価値があったのだろうかとそして今の僕になにが描けるだろうと今の自分をダブらせる。 ただ、過去を振り返るだけではない強さを感じた。 曲も変化に富み、とてもドラマチックなメロディだ。 このアルバムで一番気に入った曲。
「長い髪の人」は失恋の歌で、あなたによく似た長い髪の人を見かけると、思わず振り返ってしまう もう一度あなたの髪にふれたいという抒情派フォークのような歌詞なのに、曲とアレンジはロックでこれもとっても好感がもてる。 未練がましい歌詞を叫ぶというのもなかなかおつなもんだと思った。 ちょっと大黒摩季の感じに似ているとも思った。 大黒さんも失恋の悲しみを叫べる人だ。
ラストの「あの駅で待ってる」は長い間暖めつづけていた曲だそうだ。 私は少し「なごり雪」を思い出した。駅での別れ。 しかしこの歌のタイトルは「あの駅で待ってる」。 ということは、 長いときを経てもう一度会いたいということなのだろうか。 余韻を残した歌で、この歌の続きはあるのだろうかと期待してしまう。 それともリスナーがそれぞれに続きを思い巡らせる歌なのかもしれない。
とにかくこの「彩愛」は全曲素晴らしく、The LOVEはこれだけの実力があるのだから、これからもライブバンドとして長く続けてほしいと強く思う。
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