りえるの日記

2004年11月30日(火) 巴里

新しい黒のブーツを履いてみた。
靴音が軽やかで、肌に革が吸いつくようだ。
歩いていて楽しい。

永井荷風「ふらんす物語」読了。
きちんと整頓されたものより、少し乱れた物に色気を感じる。
純粋な処女よりも、遊女、人妻等。
経験をつむことは意味があると。
明治時代の日本人としては、何と進歩的な考え方なのだろう。
黙想し、散歩し、空気を感じ、だた書生の生活をしているのではなく
女性とも恋をし。たとえ一夜の恋でも。
アメリカに行っても、ヨーロッパの風を感じたい為に
ロシア、スペインの安料理屋に入る。
そして、スペインの言葉をおぼろげに聞くのが楽しいと。

分かる。
フランス映画、フランス語スクールの通っていて
何が楽しいかと言えば、フランス語の音に自分の体が
包まれるのに至福の歓びを感じる。

巴里に行きたくなる。

そんな思いを巡らしながら

「やさしい嘘」見る。

グルジアのおばあちゃまがパリにいる息子の手紙を楽しみにしているが
ある日息子が事故死してしまう。
家族は大好きなおばあちゃまの為に嘘をついて、息子になりすまし
手紙を書く。

このおばあちゃまがいい。
エステール・ゴランタンは、「めざめ」にも出演していい味を
だしていた。
丁寧で綺麗なフランス語を聞くのが心地いい。
本棚にあるフランス語の本も硬派だ。
アポりネールの詩集「カリグラム」の「IL PLEUT」
遊園地に一人で行き、観覧車のような乗り物に乗って
煙草をふかすシーンも好きだ。
パリのアパルトマンの螺旋階段は、息子を思うぐるぐるした気持ちと
交差する。

老人なのに、卑屈じゃないのがいいのだろう。

エステール・ゴランタンのフランス語の響きが
私の耳の中を彷徨う。


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