Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

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2008年09月18日(木)  The Late Lamented

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーの「テロリスト」読了。これでマルティン・ベック・シリーズを全て読んだことになる。'86〜'94年にかけて8冊を読み、最後の2冊だけがずっと未読だったのだ。数日前に9作目の「警官殺し」を読み、そして今日で10冊全部読み終えた。
これは1965〜1975年にかけて書かれ、当時のスウェーデンの10年間を描きだした警察小説だ。これがもう圧倒的なまでに面白い。
14年ぶりに読んだが、どうして今までこれを中断したまま放っておいたのかと思うほどの手応えだ。そして、14年の時を経て、レンナルト・コルベリ、グンヴァルド・ラーソン、メランデル、スカッケ、ルン、といった名前を見るだけで、瞬時にそれぞれの記憶が蘇る。
このシリーズは、鮮烈なのだ。全ての描写が映画のように生き生きと眼前に繰り広げられる。「笑う警官」におけるバス内大量殺人現場、「密室」の冒頭のあまりに手際の良い銀行強盗の場面などは、もう「見た」としか思えない。しかも、仰天し口をあいて「見た」のだ。
実は8冊は既に元ダンナに送ってある。このシリーズは絶対に彼の気に入る筈だ。同じ理由でエラリー・クイーンのライツヴィル・シリーズも送った。

元ダンナといえば。昨夜南阿佐ヶ谷ロックバーBでマスターと美香さんに、9/7にライヴを観に来ていた元ダンナをえらくほめられた。実は当日他のお客にも同様のことを言われた。つまり、「背が高くてかっこよくて、性格も良さそうで、Bunnyさんと似合う」って。・・・確かに元ダンナは、たいていの人に初対面から好かれる。一度会っただけの西荻ロックバーBのマスターも、後日私が元ダンナが他人に好かれるという話をしたら、「俺も大好き」と言っていた。
Bマスターに、元ダンナは元高校球児で、学生時代に絵で県知事賞を取っていると話したら、「才色兼備ですね。天才じゃないですか」とまで言い出した。うーむ。リップサービスにしても持ち上げすぎじゃないかな。
本はよく読む。私ほどじゃないが。音楽は相当に広く深く聴く。私なんぞは比べ物にならない。
でも、16年も一緒にいて、一度も彼をすごいと思ったことはなかった。音楽に関してはアレが普通かとすら思っていて、別れて初めてあんなロック馬鹿が他にいないことに気づいた。その点を別にすれば、やはり人に言われてもぴんと来ないなあ。

昨夜は。もうひとつ書いておくべきことがある。
Bで、誰も触っていないのにライトがひとつ消えたのだ。スイッチを入れなおしたらついた。私が「何今の。怪奇現象?」と笑い、「今日誰かの命日だっけ」と言った。そのとたん。
思い出した。まる一週間も忘れてた。9/10のBLACK AND BLUEのマスターの命日。亡くなってから、初めて忘れた。
このところ色々あって、気がそれてたから。
4年もたってるし、そもそも家族でも恋人でも、いや友人とすらいえない私がいつまでもめそめそとしていることが逆におかしい。ただ私が、あの時期ずっとあの店に気持ちを吐き出して、マスターが亡くなった直後から同じようにカウンターに一人で立ち始め、勝手に思いを重ねていただけだ。
死んだひとを神格化してはいけないし、もうない店よりも、今ある店に通うことを考えたほうがいい。
しかし。そうか。忘れちゃってたか。
なんだかとてもがっくり来て。一週間遅れで何かしようという気も起きない。

4年前のあの時―――亡くなって一週間後に店に集まって飲んだ時は、逆に、誰も触っていないのに、カウンター中のライトがいきなりついたんだっけなあ。マスターの大好きだった武道館ライヴの"Jumpin' Jack Flash"がかかったその瞬間に。
日付も同じ、9/17か。
私は基本的に幽霊を信じない。でも何だか「忘れたの?」と言われたようで、切ない。
(10/1up)

The Late Lamented (遅い嘆き)  *フレドリック・ブラウンの著書(邦題=「消された男」) (1959) *本当の意味は「故人」だが、字義通り取ると「遅く嘆かれた人」となる。



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