Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2005年01月23日(日)  Someday you will ache like I ache

昔一度音楽雑誌のグラビアで見てから、ずっと記憶には残っていた。派手で思慮が浅そうでロックを地で行っている感じ。顔がいい。キスをする為の唇。
コートニー・ラヴ
リアルタイムの情報が一切ない私は、1998年にも当然ホールのヒット曲"Celebrity Skin"すら知らずに過ごしていた。
ようやくちゃんとホールを聴いたのが2002年。自分用にカスタマイズしたネットラジオのお薦めで"Phonebill Song"がかかった。(私ならこれが好きだと思ったらしい。偉いぞネットラジオ)
コートニーが、"I could really fuck you up, yeah!"と叫んだ瞬間、あまりの爽快さに笑ってしまった。

今日は家に篭って、ホールのブート・ビデオを見る。1999年、オーストラリア、"Big Day Out"───コートニーが乳出しをしたので有名なライヴだが、実際そこはどうでもいい。エロティシズムなんか微塵もない、堂々たる乳出しなので。

色っぽい目つきのコートニーが、煙草を吸いつつ、とろんとした声で言う。「聖書にはいいことが書いてあるのよ。人を殺しちゃいけないとか。・・・人の旦那と寝ちゃいけないとか」
そしてくっくっと含み笑いする。彼女自身が当時、人の旦那と寝てたのだ。

1曲目は"Violet"。歌いだしの"And the sky was made of amethyst"の時コートニーはマイクの前にいない。ギターかき鳴らしたノリでうっかりどっかに行っちゃったのだ。ふと気づいて慌てて戻り、"...amethyst" と歌う。・・・あり得ないわ。多分、酔払ってるんだろう。
"Spin a lie in your mind, you're mine"と歌う前の、ピンクのライトに照らされた上目遣いのコートニーの顔。この数秒間の顔。
私は今までこんなに綺麗な女の顔を見たことがない。
これは、女として生きることを全身で引き受けた女の顔だ。
この顔を初めて見た時から2年間、私はずっと、この顔になるのだけを目指して生きてきた。顔とは自分でつくるもので、人はその顔に責任がある。あの理想の顔にはほど遠いが、おかげで私の顔はこの2年で驚くほど変わった。

"Malibu"を歌い終わる瞬間、何とも切なそうな表情をする。

彼女は母性的に笑う。慈愛溢れると言わんばかりの微笑。そして汚い言葉を吐き散らし、怒鳴り、睨み、叫び、ギターを弾いて歌う。しまいには胸まで出してみせ、オーディエンスは興奮のあまり上ずっている。
この女が家に帰った時に独りでいることを誰が想像するだろう。
彼女はステージ上の躁が、帰宅後の鬱として跳ね返ることを知っている。その報復を知っているから、ステージで時折あんな切ない顔をする。

それは、「虚」に魅せられた人生だ。いつかは無理がたたる。いつかは折れる。燃え上がる。それが怖いから、どこかで降りてしまいたい。でもまだ降りていない。
あの顔がこちらを見て言う。あなたもそこにいるの? 早くやめないと。いつか私のように泣くよ。
いつか私のように擦り切れて泣くよ。

Someday you will ache like I ache (いつかあなたも私と同じ痛みを知る *Doll Parts / Hole (1994) の歌詞。



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