Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2002年12月05日(木)  Stupid Girl / Garbage

今日はアムステルダムに行ったわけなんだけど。
はい、やっちゃいました。まさか本当にこんなことするとは。国際線の飛行機に乗り遅れたよ。
45分前までに搭乗手続きしなきゃいけないのに、30分前に着いちゃった。でもいくら何でも乗れないとは思わなかった。そしたら英国航空めが、あっさり冷たくダメって言いやがって。"NO!!"って叫んだら、"Yes."と切り返され、何だか力が抜けたのでもう逆らわずに、2時間後の次の便に切り替えた。もともと観光目当ての旅じゃなし。向こうに朝9時着の予定が11時になったところで大した違いはない。
ところがだ。私の取っていた格安チケットが、別便に切替えたことで正規料金になってしまった。差額の85ポンドを払えと言う。はちじゅうごぉーーー?!!!? だって旅行社に払ってる金額が一切合切含めて170ポンドの旅行だよ? ここに至って初めて、さっきもう少し食い下がるべきだったと気づく。イギリス人は面倒臭がりなので、しつこく言えば通ったりするのだ。(でも機内に案内するのも面倒臭がったりして・・・)

今さら言ってもしょうがない。時間潰しに空港内のバーガーキングに入る。一番シンプルで安いバーガーを頼んだが、出てきた物は、どんな動物の餌だろうと思うような大きさだった。食べる。うまいーーー。もうダメだ私。

さて、ここから少しづつ精神状態がおかしくなり出した。
まさか飛行機に乗り遅れたことにそこまでショックを受けてるわけでもないだろうから、これは多分冷静に観察するに、忙しかった毎日の中で、いきなり2時間という時間が予期せぬところでぽかっと空いたのが原因ではないか。とにかく飛行機に乗る頃には少々泣きが入っている状態で、周囲とも眼を合わせないようにしていた。その時考えていたことというのは割とスジの通った話なのだが、ここに書くと2ページくらいになりそうなので割愛。

半ベソかいてアムスに到着。たった1時間20分の旅だ。その頃には気分は絶頂に達しており、アムスで死のうかなとまで盛り上がっていたのだが。この街を一目見るなりその気がうせた。
汚い。ブリュッセルに似ているが、ブリュッセル独自の建造物などに感じる魅力も特にない。名高い運河もただみすぼらしい。
都会──ディケンズの描くイーストエンド、ゾラのパリ、ドストエフスキーのモスクワ。くすんだ石と汚い水。人が集まってくるところ。貧しさと欲が浮き上がるところ。
実はゾラのパリになぞらえるほどの力すらアムスにはなかった。何しろこの都市は世界に類を見ないほど小さい。なので逆に不潔さも大したことはない。

まあでもとりあえずは運河だろうということで、目についたボート・ツアーへ。一番前に陣取るが、あまりの退屈さに寝そうになる。ぎっしり並んだボートハウス。土灰色の水。どんよりした冬の空。

1時間の行程を終えてセントラル駅に戻る。トラムに乗って美術館へ。名前?読めないけど、Rijksmuseum。
ここの最大の目玉はレンブラントのThe Night Watch──夜警である。最大というのはそのサイズにおいても然りで、一部屋をほぼ占領し、睥睨している。写真を撮ってもかまわないというので一枚撮った。テーマも何も全く知らないが、お得意の光と影は見事なもので、中心の人物はきれいにスポットライトの中に浮いて見える。谷崎潤一郎が 「陰翳礼賛」 の中で、日本の家屋や女性というのは、本来昼間でも薄暗い、照明の足らない室内においてこそその美を遺憾なく発揮するのだ、という意味のことを書いていたが、和の陰影ほど微妙ではないにしても、 「夜警」 の中にもそれに共通するものが見てとれる。ランプの光が届く範囲だけが浮き上がる、騎士道だのレディだのといったものを作り上げるのに必要だった 「足らなさ」 ──その不足こそをロマンと呼ぶのではないか。思えば幸せな時代である。フーバーが静寂をなぎ倒し、フィラメントが美を奪った現代。そこに私たちが代わりに得たものと言えば?
・・・騒音と'Heavy Glow'のロックだったりしてね。

おそらく次に有名なのがフェルメールのKitchen Maid。素直に綺麗な絵だが、これ日本ではある通信教育の広告に長年えんえんと使われ続けている作品で、私にもその印象が強い。そのイメージを完全に払拭してこの絵を見るのはちょっと難しい。

次はヴァン・ゴッホ美術館。ここの話はひとつだけ。私が訪れた二日後にここからゴッホが2枚盗まれたのだ。ロンドンに帰ってニュース見てびっくり。

ホテルは美術館からすぐのところだったので、歩いていく。部屋に一旦チェックインして、すぐまた夜のアムスに繰り出す。ここからが今日の本番。
今回の旅のお目当て、コーヒーショップ(合法ドラッグを出す店)へ。今日日中にアムスを見ていて思ったのだが、オランダがソフトドラッグを合法化したのは、ハードドラッグの中毒を食い止める為とか何とか理由がついていたが、結局実はこれって観光客目当てなんじゃ? アムスははっきり言って魅力に乏しすぎる。ドラッグがなけりゃ私もきっと来なかったろう。

まずは1件目。ライトハッシュいこう。
インドのCharrasを1gと、本物のコーヒーを一杯頼む。いきなり葉っぱだけ持ってこられたので、煙草で吸いたいんだけどと言うと、煙草を1本と専用の紙を何枚か持ってきてくれた。しかし上手く出来そうにない。
隣の席にいた、目のいっちゃってる金髪の男性に頼んで巻いてもらう。上手い。すごく手慣れていて、芸術的に巻いていく。私にはとてもじゃないが出来そうにないと言ったら、「とてもトリッキーなんだ」とぞくぞくするような色っぽい声で言う。
吸う。わわわ、これは私がカムデンで買ったのとはなんと言うか、品質管理が違う感じ。さすが合法。最初にちょっと笑いが来たが、あとはいつも通りゆるやかな効き目。はー、悔しい。何でこんななんだか私。ただひとつ言えることは、ヘンプ吸ってると他に何してなくてもまず退屈しない。ずしんと落ち着くのだ。

2件目。いきなりディープな雰囲気。「インターネットコーヒーショップ」なんて書いてあるから入ったんだけど、結局古い型のマックばかりで、使いものになりゃしない。まあそれが目当てではないからいいけどね。
黒人ばかりが集う店で、ここではモロッコのPollenを吸う。いい香りだ。店の黒人(Jackson)に巻いてもらう。ホットチョコレートももらう。喉の粘膜がやられてて、草の煙がもろに染みるのだ。そうでなくても甘いものは草とは相性がいいらしい。

しばらくしてJacksonが、ネット出来る他のコーヒーショップにつれて行ってあげようと言うので一緒に出る。(仕事しなくていいのか?)
私が朝から食事してないと言うと、おいしいチャイニーズを食べに行こうと言う。入ってみたらメニューはナシゴレン、サテ、ミーゴレン・・・あのーこれってインドネシアンて言うんじゃ。でも料理してるのは中国人だったりなんかする。ここでの食事がもう成田発って以来のベスト1であった。美味い!!

3件目のコーヒーショップ、結局PCはまた役立たず、メール1件送るのが精一杯。
さっきのPollenをどんどん巻いて吸う。別にどこでも持ち込み吸ってかまわないらしい。Jacksonが紅茶を2杯おごってくれる。飲み物はどんどん欲しい感じ。寒いし。

Jacksonに案内されて、レッドライト地区を見て歩く。アムス名物、有名な飾り窓がずらり。レッドと言うよりはピンクのライト。似たような個室が通りに向けてずらりと一列に並び、ドアはガラスで中が丸見え。室内はベッドと洗面台くらい。そして一人一人がガラスドアに半裸の身体を押し付けながら、客を呼ぶのだ。お客のついた部屋はドアにカーテンを下ろして中を見えなくする。
レッドライト地区の中でも更に極めつけのブラック・ゾーンと呼ばれる地域も歩いた。女性なんて一人も見かけない。私一人では絶対に来られなかっただろう。私はリュックしょってたのだが、ちょっと怪しい気配に振り向くともう手がリュックの中に伸びてたりする。

ピープ・ルーム(覗き部屋)へ。結構これもあちこちにある。真ん中の丸いステージをぐるりと囲むかたちの個室があって、そこに入るとコインの投入口がある。お金を入れた分だけ見られる。
あれって女の子からこちらは見えないことになってるけど、どうだろう、見えてんじゃないかな。かなり目が合ってる気がするし、しかも何だかこっちが女だってわかってる気もした。
男女の絡みを見たならともかく、女の子が一人で開脚してるのを見ていると、色々冷静に考えてしまう。身体柔らかいなあ、だの、下半身冷えないのかなあ、だの。

大変だ。頭がすっきりしてきた。草!酒!
4件目のコーヒー・ショップ。今度は何だかハード・ロックががんがんかかって、ロックビデオが流れている。コーヒー・ショップもほんと色々だ。ここではとうとうジンを飲む。またJacksonの奢り。ただし彼はちょっと前から態度が怪しくなり出しているので、適当なとこで逃げなきゃ。
インディカのOrange Budを吸う。これは一番甘くていい香り。何だか新しいのを試すたびに品質が上がっていく感じ。実際これはほんのちょい高いし。高いったって、何本か巻けて2,000円もしないんだけどね。
しかし酒。やはり酒。一気にいい気分になる。2時頃そこが閉店になったので、出て速攻でタクシー拾い、部屋まで送ると言うJacksonを蹴りだして、それじゃ!って感じで一人でホテルに帰る。



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