Jacarandaの日記
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2004年08月14日(土) 脳の科学

数年前に従事していた私の研究分野は、

「脳科学」でした。

人間の脳の神秘を解き明かす

神経伝達のメカニズムを研究する学問。

国立の某研究機関に所属していたのですが、

その研究所長(現特別顧問)で、小脳の研究では

世界的権威のI先生のインタビュー記事が、

新聞に掲載されていました。

人間の記憶学習機能について解き明かす小脳のメカニズムを判りやすく説明されています。



「 人間の脳は、千億個の神経細胞がネットワークを構成しています。

  神経細胞の接合部は、性質を変え、情報の伝達効率を調整して、情報を蓄積しています。

  そのうち、大脳は情報を伝えやすくする”長期増強”が起こることが知られていますが、

  これに対して小脳は、逆に伝えにくくする”長期抑制”が起こることがわかりました。

  小脳は”学習機械”と言われます。

  ”長期抑制”を利用して、失敗した時に使われた回路を抑えていくからです。

   だから反復練習で、運動などが上達するのです。」



この先生のわかり易い説明は、眼からうろこでした。

研究という名のもとで、ことさら難しく考え、ピンポイント的視点でしか「脳科学」を見れなかった。。。

その頃の愚脳の私は、( 今でもそうですが、、、)あまり脳の研究に魅力を感じていなかったと思います。

しかし、研究をやっていく上で大切なことというのは、

実際の人間の行動原理の解明に結びつくような研究へアプローチする姿勢。

研究の目的意識の維持、つまりは日々生活する中で、継続した具体的な目的意識を持つことの大切さ、

そして、常に地道な努力をする姿勢が成果につながるということ。

そんなことを新たに認識させてくださった今日の記事でした。



オリンピックの日本選手の活躍を観戦しながら、この穏やかなI先生のお顔を思い出し、

未熟な研究者だった自分を省みています。

  


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