ニッキ?

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2005年05月29日(日) さいきんの感想あれこれ

こっぴどく風邪をひいておりました。

【最近読んだ本】
井沢元彦『逆説の日本史2 古代怨霊編』
意外と面白くなかった。1巻のあとに期待しすぎ?
聖徳太子ノイローゼ説は面白かったし説得力があったのだけれど、
聖徳太子怨霊説は、いまいち。どこかはぐらかされた感じ。
その説の運びに1巻ほどの稚拙さがなく、まず結論ありきで、
古典の解読や他人の説も、自分に都合のいいところだけを持ってきたような、
強引さや歯切れの悪さを感じる。
残念だ。

こうの史代『夕凪の街 桜の国』
なんといってよいか……やるせない。
どんなときも、どこにいても、だれにでも、生活があるんだ。
ただ、戦争があった、とか、原爆で何人死んだ、とかでなく、
そこには生活があって、その生活が破壊されて、でもまたそこに生活が生まれて。
伯母のお葬式でずっと、この人は終戦のとき二十歳だったんだ、
と思っていたことを、思い出した。

伊勢英子『画集「死の医学」への日記』
とうとう入手。
探し始めて1年半くらいか? 絶版品切れ、古本屋でも見あたらず。
でも、ついに古書店のネットで発見。世の中便利になったものだ。
この本を、なんの前触れもなく見たら、どんな感想を抱くか、もうわからない。
わたしは、伊勢さんの事情も、ついでに柳田さんの事情も、
そしてこの連載がどういうものであったかも、すでに知っているので、そういう目で見てしまう。
後半、女の子と父親風な組み合わせが増えれば、
まぎれもなく伊勢さんとお父さんのことだろうと思うし。
鉛筆だけで、これだけの絵を描き上げる。
しかも毎週、毎週。
死と直面しただれかのことを思いながら、その原稿にきっとうちひしがれながら、
そして、自分の父と、自分のことに置き換えながら。
きっと大変な労力と精神力を要したことだろう。
次第に、何か達観していくかのような様を感じ取れるのは、
なにも、その事情を知っているからだけではないと思うのだ。

荻原規子『西の善き魔女』4巻
ようやく世界の真相に迫り始めた、かな?
各巻の巻頭に載っているわらべ歌にでてくる、
「西の善き魔女」「東の武王」「賢者」「詩人」とそろってきた。
まだ「氷の都」「真昼の星」と残っている。
(これがわたしの鈍感だったら笑いものだが)
さあ、このあとどう解いていくのか楽しみだ。
なんとなく、世界の謎が見えてきたようで、
その実、主人公たちはようやくその謎に巻き込まれつつあるところ。
今までは自分たちのことしか考えていなかった彼らが、
この先、どう動いていくのか楽しみだ。

【最近の見物】
ゴッホ展
覚悟をしていたけど、すごい人。
ゴッホ=点描風、黄色、青
というのがわたしの持っていたイメージだが、確かに点描を彼は学んでいた。
でも完全にではない。いいとこどりだ。
後年、「点」が「荒く」なる。大きく長く。それで独特な「うねり」が出る。
また、ゴッホは、空気中の色を見られる人だったのか。
目の錯覚に騙されない人だったのか。
私の目には、連続するもの(服や机や壁や…)は「同じ色」に見えてしまうけど。
青と黄色が印象的。
伊勢さんも青だ。そして、ピンクっぽい色。
なにがしかの影響を受けたのだろうか。
わたしにとっては、ものの本質を解いて、色で表してみせる二人は、
同じ線上に並んでいるのだ。


鳥乃 |MAILHomePage

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