年明け早々 強姦なんてのに遭った。
あたしの脳は上手くできてる。
呼吸困難を引き起こすような 詳細をちっとも覚えちゃいない。
フラッシュバックのように 何かの切っ掛けで脳裏を掠める ガラスの破片のような記憶は 酷く鋭利で痛いんだ。 そんなものを 無理に思いだそうとするのは無駄なことだ。
鑑識に預けられた 仕事着のトレーナーと 愛用ダウンが未だ戻ってこない。 二ヶ月が経ちそうな今 それでも連絡して訊けないのは 新たに何かを訊かれるのと それで何かを思い出すのが嫌だから。
セックスをした。 すがる相手の名前を確認するあたしがいた。 乱交でもしてる訳じゃなし そこには直前まで話していた人しかいないのに そんな判りきったことを繰り返し。
あぁ、あたしの脳は馬鹿だ。 忘れたフリをして 何かを不意に思い出す。
心の傷なんて知らない。 痛むのは頭だけだ。
偏頭痛なんて慣れている。 酷い日には鎮痛剤で済む話。
何も なかった
そう警察に話した通り。
|