原稿と仕事からようやく帰ってきました。11日までたくさん書くぞー!! … … と思いつつ、ふと気づくと夜八時から朝六時まで寝入る始末。さすがに二週間休みないとちょっときつかったみたいです。くそう。
ただ、変な方向に妄想走ってる間は元気みたいで、帰りの新幹線の中でPCいじってる間にモノが増えました。
*補足説明 むかしむかしから、昆虫は合同誌というものに憧れておったのです。人と世界を共有するとか、たいへん燃えであります。そして私は、すこし可哀想な感じに真鍋さんが好きです。ええとその……この間と似たようなでんで『ひとり合同誌・役者を借りてきました』と思ってください。うわ恥ずかしい。
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「昔むかしは、何故か大きくなったら自分は推理小説作家になるもんだと思い込んでいてね」 「ほう?」 返事に言葉以上のものが詰め込まれていた。小ばかにしたような響き。それを発した主の人生が、どこまでその概念からへだたっていたかという事実。彼は気にしなかった。夢を見がちな人間の常として、自分の思っているものが誰かに相手にされないことには慣れていたし、その積み重ねた経験のおかげで、そこまで興味がないにしては、その男が礼儀正しい態度をとってくれたことが分かったので。 「で、当然のようにそういうものの本を読み漁ったんだが、おかげで分かったことがある。あれはずいぶんと制限の多い話で、してはいけないことがイスラームの戒律みたいに厳密に決まっているんだな。研究者も多いし、分類も系統だっている。その中で古典中の古典、源流とされるのが、『雪山山荘もの』なんだ」 「で?」 「古典であるということは、基本であるということだ。それに、パターンが出尽くしているということでもある。別の言葉では、『陳腐』と表現してもいい」 「つまりはあなたは、こう言いたいわけか―――」 男は掌を上に向けたまま、じつに優雅に右手をスライドさせた。コックコートに身を包んでさえいなければ、古式にのっとった宴席へ客を案内する貴族のように見えただろう。舞台装置そのものは完璧だった。それを裏切っていたのはただ一つの異物だった。会場の隅のヴィクトリア王朝風のテーブル、真っ白なテーブルクロスに無秩序に彩色された鮮やかな血痕と、その端から垂れ下がっている湾曲した指。 「―――この状況は陳腐だ、と」 「ご名答」 彼はタキシードの下で肩をすくめてみせた。何とも表現しがたい笑みを浮かべて、真鍋英一朗は視線を彼の頭上に滑らせる。あえて追従こそしなかったものの、英一朗が見ている窓の向こうにパンくずそっくりの氷の結晶が乱れ飛んでいるのを、彼は知っていた。そして、ふもとの幹線道路にいたる道が、雪崩によって閉ざされたことも。
やっていいすかーー?>明後日の方向へ向かって叫ぶ
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