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ムシトリ日記
加藤夏来
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2005年11月20日(日)
Zの風

このところじっとして体を休めたい時間には、ネットでDLしてきたZガンダムを見ています。OPおよびEDが入っていないのと、スタッフロールが全く無いのを除けば本放送当時と同じ。昔は兄が喜んでいた隣で話がまーったく分からず、仲間はずれになったような気がしてぴーぴー泣いていたものですが、いや分からんはずだわ。今見ても分からん部分がけっこうあるよ。

何せ第一話の開始十分、カミーユが殴りかかる直前のジェリド・メサが振り返って言うセリフからこれです。

「カクリコン中尉の知り合いか?」

ノー説明!

確かにこのカクリコン中尉という人は後の話でけっこう出てくるのですが、とりあえず第一話では影も形も出てこないし、何かのついでにさらりと名前を呼ばれるくらいの紹介のされかたしかしません。要は「今第一話を見ている視聴者は後の話も見てくれるし、個別に出てきた固有名詞を忘れることもない」という前提条件のもと作られているわけです。

物凄い大名商売です。

遠慮なしにばんばん新しいキャラは出てくるし、ほとんど一人残らず名前が耳慣れないし、とどめに主人公が、これでもかというほど好きになりにくい性格をしています。ついでに前のシリーズのレギュラーキャラクターがけっこう重要な扱いで、てんこ盛り登場します。アムロとシャアに何の思い入れも無い人はどうすりゃいいの、これ。

と、改めて和製スターウォーズになりおおせた伝説のアニメのすごさを確認したところで、作品の感想に移ります。





まず一言。嫁と息子が二人ともこの性格だったら、私でも家庭から逃げたくなると思います。

これはマルガリータのくだりで誰でもそう思うでしょうな。単に性格が暗いだけでもいい加減鬱陶しいのに、さらに頭とカンがいいのです。ほぼ最悪の組み合わせです。ヒルダ・ビダンの人となりについてはほとんど推測になりますが、外観のデザインと演出の意図から言っても、息子は母親似ってことでいいでしょう。

仕事にかまけて家庭をおろそかに、っていうのは、ものすごくよくある家庭内トラブルの原因ですが、両親とも同時にそれをやって、しかも子供は一人っ子のカミーユ・ビダンです。どこから手をつければいいのやら、まったく分かりません。母子が過度に密着する傾向のある父親不在家庭でさえ、何やかんや言われるのに、愛人作ってる父親を母親が「仕事が面白いから」という理由で無視。しかも嫌味だけはご立派。笑う以外にすることがないな。

先ほど大名商売と言いましたが、わざわざ主人公のキャラクター設定をこんなんにすることもまた、並の度胸ではできないことだと思います。サブカルチャーは自分で自分を食わせていかなきゃならない文化です。ガンプラ売らなきゃ、次はないのです。地盤を手にしたからこそこういう離れ業もできたんだと思いますが、そもそも普通の作者は思いつきもしないでしょう……。ある種、やはり伝説だったんだと思います。

というわけで、やっぱりカミーユが好きです。フォウの魅力はよく分かりませんが、この女の腐ったような根性と右左に並べると、百合もののようで非常にいいです。オカマ万歳(結局それか)