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ムシトリ日記
加藤夏来
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2004年11月26日(金)
PBC

ちょっとした昔話。


思えば妙な方向から入ったものですが、インターネットを始めたてのころ、ハマった遊びは「なりきりチャット」でした。まったく知らない方のためにご説明申し上げると、これは特定のチャットにおいて、「自分はかくかくしかじかのキャラクターである」という仮定のもとに会話する遊びのことです。(オリジナルのキャラクターであることも、既存作品のものであることもあります)


起源はTRPG……さらにもっと説明が必要な単語が出てきているな、「ドラゴンクエスト」の起源である米国の「D&D」とかに遡ります。歴史はどうあれ、大人のためのごっこ遊びなわけですね。


見当がつく人もいるかとは思われますが、この遊び、ジャンル外からの評判はあまり良くありません。まあそう言われる理由も分からないではありません。というか、心当たりがありすぎてどれのことやらって感じです。架空の人物の名前でチャットしているという時点で痛い、という本質的な問題を置いておいても、ちょっと変なことが多いもので。



一例:キャラ設定

オリジナルキャラでのなりきりチャットですが、ここで一般のプレイヤーが使用しているキャラクターの設定があまりにも面白かったので、観察して楽しむために参加を始めたという人も実在します。
そこまでのエンターテイナーはそうはいませんが、なりきりチャット用キャラクターというのはプロが作品の売り上げを伸ばすために、バランスを考えて設定したわけではありませんから、どうしても派手な設定に偏りがちです。無敵・最強・美形は標準装備です。(少し知恵があって、ずばり最強と書かないプレイヤーでも、内心あの手この手を駆使して自分キャラを最強にのし上げたいと思っているのは変わりありません)

意外に数が多いのがです。

人外キャラ(モンスターとか魔法使いとか)OKのサイトだと、これは特に気軽に登録される傾向があります。散見した中では以下のようなキャラクターがありました。

・2116億歳で、今は妻と幸福に暮らしている。

この人はまだ架空の神でしたが、

・現代の町という舞台設定のサイトにロキ
・同じサイトにルシファー
・別のサイトにミカエル
・と、その彼氏(ホモの町なんで)の自衛官。

あ、最後の人は項目違いのようですが、付き合い始めてから人間やめたそうなんで、間違いじゃありません。やめてからも電話で上空に航空自衛隊を呼び出して喧嘩の相手を空爆しているのを見かけたことがあるので、自衛隊を退役したわけじゃないようなんですが……。



こういう無茶な状態を複数で楽しめるのがPBCの醍醐味ですが、さすがにここまでやると評判が悪くなるものなので、

・PBCサイトを批判するサイト
・付き合いづらいPBCキャラをタイプ別に批判するサイト
・上記のような批判サイトを批判するサイト
・それをあげつらって喜ぶ巨大匿名掲示板

などが存在します。ジャンル自体がたいへん幼いので、トラブルも幼くなりがちです。また、幼い人が多いため、自分の不幸を語りたがる傾向があるのも特徴です。まして架空キャラクターとなると、架空の不幸をどれだけ背負わせるのも簡便かつ気軽なことです。
このため、サイト自体がルールとして「自分のキャラを不幸にしないこと」を掲げているところもけっこうあります。じゃないと以下のようなキャラだらけになる可能性があるもので。

・やたら手首を切りたがる人
・(性的)虐待を受けた過去を持つ人
・無理やりマフィアのボスの愛人にされた人(男)
・それらを全部一人で兼ねている人
・そのため(中略、適当な理由)で、セックスをしないと癒されない体になった

太字部分がメインなのは言うまでもありませんが、とどめに「愛のあるセックスをすると背中に謎の模様が浮かび上がる」なんていう設定がついていることもあります。日常会話がたいへんやりづらいです。


いいかげんお腹いっぱいでしょうが、まだネタが残っています。