ちょっと昔、Tのつく巨大自動車企業がNY株式市場に上場した折に、『この偉大なる企業を我が市場に迎えられたことを光栄に思う』とのコメントが出されました。 実に正しいコメントだと思います。物心ついたころから、Tは偉大だ偉大だと言われっぱなしで、今に至るまで失敗したところを見たことは一度もありません。”借金しないで商売を営む”という、超シンプルで物凄くいじましい経営方針も――多分に日本一金銭に保守的な土地柄が影響していると思われますが――カミソリ一枚入れる隙間もなくて、逆に感動します。ここまで続いた不況の間も、Tがヤバくなったという噂はついに聞くことができませんでした。多分、あそこが潰れるときは日本の屋台骨は揺らいでいるでしょう。もっと後かもしれんな。
えー。何だっていきなりこんな話なんでしょう。 実はこの話題、オリンピックからの流れで出てきたのです。
すこし時を遡りますが、首からじゃらじゃらメダルを提げたオリンピック柔道選手団の皆さんが帰国されました。当然、取材の筆頭は連覇二人組です。ニュースを見ていてふと、四年前の今ごろはTの本社玄関前に社長以下役員社員がずらっと並んで、帰ってくるYAWARAちゃんをお迎えしていたことを思い出しました。(「姐さん!お努めご苦労さんです!」とかいうドスのきいた声を連想したのは内緒です) 今回、じゃらじゃらメダルを取りすぎてすっかり一人一人の影が薄くなっておりますが、やはりYAWARAちゃんは別格です。それはつまり、柔道着の端っこにプリントされたTの社名が四年で一番輝いた瞬間でもあったはず。今ごろ上から下まで大喜びだろうな、と思いながら、Tの公式HPを検索してみました。喜びで足元が浮ついている人、というのを見るのがたいへん好きでして。
で、ここでやっと話が戻ります。 Tはやっぱり偉大な企業でした。
……………公式HP中、どこをどう探しても、オリンピックのオの字もありません。車車車、車に関しない話題はどこにもなし。大枚はたいて手にした世界アスリートが、自社に所属していることすら記載なし。 確かにそりゃ、自動車を販売している企業としては正しい態度なのかもしれませんが、少しはこの、人間味っていうか、ねえ。つうかあんたら、何のために彼女を全面バックアップしてるのか。それとも仕事忙しすぎて、オリンピックのことなんぞ考えてるヒマもないんでしょうか。 ことの真偽は定かではありませんが、個人的にそれなりのショックを受けたのでまとめてみました。Tには大事件があったとき、HPでそれをアピールするという習慣が無いという方向に一票を投じます………。
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