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2004年11月08日(月) 49才、幸せな主婦

最近、オレンジ・レンジの「花」という曲をよく耳にする

「生まれ変わっても あなたに逢いたい」

・・・・・歌詞をつい追ってしまうたびに
暗澹たる気持ちになる。

以前の私ならば、歌詞に彼のイメージを重ね
一人で胸を詰まらせたり、涙ぐんだりしていたことだろう。
ただ、ひたすらに、自分の想いでいっぱいだった・・

今は、滑稽にすら、感じる。

生まれ変わっても、逢いたいと思う人など、いない。
心の底から、そんなことを思ってしまい
本当に、誰にも逢いたくないんだなあ、って思って
そんな自分を、ちょっと可哀想に思う。

この世に、男女間の愛など、存在しない。

誰だって、結局、かわいいのは自分だけ・・
愛せるのは、自分だけ。






家に戻り、平気な顔でいられる自分が不思議だった。
とにかく、疲れていた。
とてもとても、疲れた顔をしていたと思う。
それでも、私は普通に子どもたちと会話をし、
笑い、「出張」の報告をした。

とにかく、やらなければならないことが、ある。

一人だけ、メールを返してくれていなかった彼女。

・・・・・確かめなくては。

翌日、子どもたちを送り出し、家事を終え、一仕事終わったところで
PCにむかう。
「どうしても、ご連絡しなければならないことがあります。
どうか、お返事をいただけませんか?」

しばらくすると、携帯が震えた。
「メールをいただいた時点で、貴女にも、ヒロさんにも、
もう金輪際、お返事をするつもりはありませんでした。」

「お伝えしなければいけないことがありました。」
「まず、お伺いしたいことがあります。彼は、Mさんとはただのお友達、
たいして深いつきあいではない、と言っておりましたが、それは本当ですか?」

・・・・・間を置いて、携帯が震えた

「少なくとも私は、そうは思っておりませんでした」

頭の芯がビリビリとしびれるような感覚に襲われる。
彼は、どこまで本当のことを私に言っているのだろう?
彼は、彼女は地方に住んでいる、だから、そんなに逢えるわけではない、
深い関係にもなり得ない、と私に言っていた。
「正直に話す」と私と「約束」し、他の女性とのつきあいも
洗いざらい話し、これ以上、もう嘘のつきようがない・・というような状況の中
まだ、嘘を重ねていたというのだろうか・・

「あなたは、どこにお住いなのですか?」

「東京です」

地方在住ではなかったのか?
東京だったら、いとも簡単に、頻繁に逢えるではないか・・・

ヒロの嘘が、決定的になった瞬間だった。
いや、嘘は、もうすでに、数え切れないほど発覚していた。
いわゆる、ダメ押し・・・・・

携帯で、チャット状態となる。

私は、私とヒロの5年間のことを、
彼女は、彼女とヒロの6年間のことを・・

お互い、確認しあうように、一つづつ、話していた。

彼女は、49才。
大学生と、すでに社会人の2人の娘さんがいる。
地方在住であったが、ご主人が東京に単身赴任なさっていて
末のお嬢さんが大学に入ったのを機に
お嬢さん2人をそのまま置いて
ご主人のいる東京へ移り住んできた・・
それが、1年前のことだと言う。

その前は、やはり単身赴任の夫の世話をするために
月一度の上京・・
その都度、彼と逢っていたという。
そのほかに、彼女は、彼の別荘の近くのリゾートホテルの会員で
そこに行くといっては、
彼の別荘に泊まったり、自分が会員のホテルに彼を連れていったり・・
そんなことを、年に数回、繰り返していたという。

一番ショックだったのは、今年の3月、そして6月、
2回にわたって、彼といっしょに信州に行っていたということ・・

奥さんといっしょ、とばかり思っていた相手は、彼女だった。
そのことが、私を打ちのめした。

彼女のほうは彼女のほうで、
非常にまめに携帯メールで連絡をとっている相手が
奥さんではなく、実は私であった、という事実に
とても、ショックを受けていた様子で・・

さらに、彼女のショックに追い打ちをかけていたのは
彼に性感染症をうつされた、と言う女性がいた、という事実だったらしく・・

携帯で、さらにはPCで、チャット状態のやりとりが
2時間ほど、続いただろうか

「まだ、今後、ご連絡をとりあうつもりでいらっしゃるのですか?」

という私の問いに

「もう2度と連絡するつもりはありません」

と彼女が答えた。

「2,3年ほど前でしたら、ダメだったかもしれません。
本当に、思いつめていましたから。
でも、この1年はとくに、ほんの少しずつですが、
不信感を抱いていたのも、事実です。」

「彼に、他に親しいメールのお友達がいるのは感じていました。
でも、いつでも自分は特別・・という思いがありましたから
彼に尋ねることも、しませんでした。
でも、目が覚めました。とてもつらい気持ちはありますが、
ある意味、貴女に感謝しなければ、いけませんね」

そして、彼女はこうしめくくった

「私は、家庭が大切です。2人の娘も、私のことを
いいお母さん・・と思っていてくれますし、主人も私のことを
本当に大切にしてくれています。
私は平凡な主婦ですし、働く必要もなく幸せな生活をしています。
それを壊すことは、私には、できませんから」

勝ち負けではない。

・・・・・・しかし、私の完敗だった。


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