ひとりごと
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買い物帰り、駅に向かうためにファッションビルの1階をを突っ切った。 特にそこで買うものはなかった。 でもきれいなものがいっぱいのアクセサリー売り場は楽しい。 きらきらやふわふわに目を奪われながら歩いた。
フロアの真ん中に伊勢の真珠屋さんの特設コーナーができていた。 ショーケースに並んだネックレスやイヤリングをちらちらと見た。 きれい。素敵。 でもネックレスなら1本持っているし、今はこんな高価なものはいらないわ…。
そう思いながら通り過ぎるとき、ショーケースの端の札に目がとまった。 「真珠一粒42円」。 平たい器の中に、ざらざらと山盛りの真珠が入っていた。 気になって近寄った。 手に取ってみると、ちょっとはげていたり、形がいびつだったり、しわしわだったり、 みんな「難あり」の真珠の粒なのだった。
売り場の女性が声をかけてきた。 「この真珠は検品の段階ではねられたけれど、もともとはこちらのネックレスと同じ和珠なのですよ。」 隣のネックレスに目をやった。 色も形も均一なつややかな珠が連なって美しく輝いていた。 それに比べて、こちらの器の中の真珠たちは不ぞろいな光を散らばらせて、 子どもたちがざわざわと集まったかのようにあっちこっちを向いている。 でもそれがユーモラスに見えて温かみも感じられるようだった。 「お安いですし、お気軽にビーズ感覚でどうぞ。」とお店の女性はにこやかに言ってくれた。
うんとでこぼこの一粒を手に取った。 ネックレスになっているものよりも大きくて、虹色も深いような気がする。 個性的な形がかわいく見える。 こんなでこぼこばかりの真珠を選んでネックレスにしたら、わりと素敵なのじゃないかしら? そう思いついて、備え付けの小さいカップを手に取った。 器からすくい取った真珠の中から、できるだけ個性的なものを選んでカップに入れた。 途中から、お店の人も手伝ってくれて、カップはすぐにいっぱいになった。 一粒が7、8ミリの大きさがあるので、5、60個でネックレスができあがる。 結局、気に入った珠を60個選んで買った。 ひとつひとつが違う色と形を持った、かわいい私のでこぼこ真珠たちだ。
貴金属はあまり身につけないけれど、真珠は特別に大好きだ。 生きている、と言う感じがする。 身に着けていると、暖かいような感じがする。 アコヤ貝がその一生をかけて、たった一個だけ作った真珠はとても貴いものだと思う。 いびつな形は、その貝の個性だ。 異物を丸め込もうとして、一生懸命に美しい真珠層を巻きつけていく。 熱心に巻きつけ過ぎた結果がでこぼこ真珠なのだ。 そう思うと愛しい。 私は考えすぎかしら。
でもこのでこぼこ真珠たちで作ったネックレスはきっとお気に入りになるだろう。 丁寧にひとつずつつないで、たったひとつのネックレスを作ろうと思う。
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